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第11回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の“環境”について

~空気と共に、人と建物を支える静かな仕事~

ダクト工事は、空調・換気・排煙といった空気の流れをつくるために、建物の内部に風の通り道(ダクト)を設置する工事です。

見えない場所に施工されることが多いため目立ちませんが、建物内の空気環境や衛生状態を保つために不可欠なインフラです。

しかしその裏側には、**施工現場の作業環境や、使用資材による環境負荷、メンテナンス性といった多面的な“環境課題”**が存在しています。


✅ 1. 現場の作業環境:狭くて暑くて過酷

 

ダクト工事の現場は、主に天井裏・地下・機械室・屋根上といった閉鎖空間や高所作業が多いのが特徴です。

現場作業の環境リスク:

  • 天井裏の高温多湿(特に夏場は熱中症リスク)

  • 脚立・足場上での作業による転倒・落下の危険

  • 他業種との同時施工による作業スペースの圧迫

  • 重量物(スパイラル管、角ダクトなど)の搬入と持ち上げ

これらを防ぐために、現場では空調服の着用、熱中症アラートの導入、昇降設備の工夫、安全教育の徹底などの対策が進められています。


✅ 2. 使用資材と環境負荷

 

ダクト材には主に亜鉛メッキ鋼板(ガルバリウムやスパイラル管など)が使われますが、その加工・運搬には電力や資材コストがかかります。

また、施工中に発生する環境負荷として以下のようなものが挙げられます:

  • 鋼材の切断時の粉じん・騒音

  • アングルや吊り材の取り付け時の廃材・端材

  • 運搬時のCO₂排出

  • グラスウール等の断熱材による飛散(保護具が必須)

近年では、軽量化されたプレハブダクトや高反射塗装タイプの製品、さらには環境認証(LEED等)に対応した資材が登場し、環境負荷低減への意識が高まりつつあります。


✅ 3. 空調の省エネとダクト施工の関係

 

ダクトの“断熱性”や“気密性”は、空調効率に大きな影響を及ぼします。
隙間だらけのダクトでは、せっかく冷やした/温めた空気が逃げてしまい、無駄なエネルギー消費を招くことになります。

  • 気密性の高いフランジ接続

  • 断熱材の確実な施工

  • 最短経路・曲がり最小の配管設計

  • 風速・風量のバランス調整

これらを意識することで、エネルギー効率が改善され、CO₂削減にも貢献できるのです。


✅ 4. 維持管理という「見えない環境改善」

 

設置後のダクトは、放っておくとホコリ・カビ・有害菌の温床になります。
特に厨房排気や工場の排気系統では、油や粉じんが蓄積され、火災や健康被害のリスクも高まります。

これに対応するために:

  • 定期的な内部清掃

  • 点検口の適切な設置

  • メンテナンスしやすい配管レイアウト

  • 施工時から維持管理を見越した設計

など、長期的視点での“環境衛生管理”を意識した工事が求められています。


▶ まとめ:空気を扱う仕事は、環境をつくる仕事

 

ダクト工事は、「空気のインフラ工事」と言っても過言ではありません。
私たちが知らないうちに呼吸している空気、その質と流れを裏側で支えているのが、ダクト技術なのです。

だからこそ、施工現場の環境、資材の環境負荷、空調効率、メンテナンス性のすべてが「環境への責任」と直結しています。

次回は、そんなダクト工事がどのように“未来”へと進化していくのか、その可能性を掘り下げてみましょう。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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