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第16回ダクト工事雑学講座~ニオイ・結露・暑さを“原因から”断つ~

皆さんこんにちは!

株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~ニオイ・結露・暑さを“原因から”断つ~

 

設備は入れて終わりではありません。フィルタの目詰まり、ダンパのズレ、外気条件の季節変動——これらは少しずつ快適性と省エネをむしばみます。今日は“直すべき順番”と“効くメンテナンス”を、現場感覚で解説します。


1|症状から当たりをつける

  • ニオイが取れない :排気不足より給気位置ミスのことが多い。→客席側に逆流していないか煙テストで確認。

  • 結露・カビ :外気導入の断熱不良・風量不足・風速過多(滞留/短絡)のいずれか。→ダクト断熱と露点の見直し。

  • 暑い・寒いムラ ️:吹出し口の到達距離不足やレイアウト変更による短絡。→吹出し形状変更や風向可変で改善。

2|メンテは“上流から”が鉄則

  1. 外気取入口の清掃・離隔確認(虫・落葉・油煙)

  2. フィルタ点検(圧力損失で交換判断、目視だけはNG)

  3. ファン・ベルト・防振(回転数・振動・軸受温度)

  4. ダンパ初期値復帰(工事後の“仮設定”を正規化)

  5. 末端風量バランス(TABで帳尻合わせではなく“配管抵抗”を整える)

この順番を守ると、無駄な部材交換を防ぎ、効果測定が明確になります。

3|年間スケジュールの作り方

  • 春(冷房前):外気量・除湿計画の見直し、ドレン詰まりチェック。

  • 夏(高負荷):連続運転での異音・振動監視、夜間の温湿度ログ取得。

  • 秋(切替期):ダンパ開度の季節リセット、消音器の汚れ確認。

  • 冬(加湿期):結露対策の断熱補修、外気取入口の凍結・着雪対策。

4|省エネと快適の“二兎”を取る改善

  • インバータ最適化:ピーク時間帯だけ上げ、アイドルは絞る。**電力▲10〜30%**が現場実感。

  • CO₂連動換気:人の多い時だけ自動増風。会議室・学習塾・美容室で満足度アップ。

  • 熱交換換気(顕熱/全熱):外気導入量を落とさず空調負荷を低減

  • ダクト改修のミニマム化:全更新ではなく、曲がりR拡大・不要分岐撤去・フレキ短縮で圧損改善→静音化も同時達成。

5|“見える化”が現場を強くする

  • センサー3点セット:CO₂・温度・湿度。月次でしきい値と乖離をレビュー。

  • ダッシュボード:担当者がスマホで風量・差圧・アラートを確認。異常の早期発見でダウンタイム短縮。

  • メンテ記録:交換日と“理由”を残す。**“なぜ変えたか”**が次回の判断基準。

6|ミニ事例(要約)

  • ベーカリー:焼成時の熱と臭気が客席へ。→補給給気を床面近くへ移設、排気フードを縁流型に変更。臭気苦情0・電力▲12%

  • オフィス:午後に眠気・だるさ。→CO₂連動に更新、会議室ブースト機能追加。平均CO₂▲400ppm・生産性改善の声

“直す順番”と“見える化”で結果が出る

場当たり的な交換より、上流からの点検→バランス→制御で手堅く改善。私たちは点検・洗浄・TAB・制御最適化までワンストップで支援します。におい・結露・暑さのお困りごと、まずはお気軽にご相談ください♻️

 

 

 

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第15回ダクト工事雑学講座~“ちょうど良い風”~

皆さんこんにちは!

株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“ちょうど良い風”~

「ニオイがこもる」「暑い・寒いムラがある」「作業効率が上がらない」——現場の悩みの多くは“空気の流れ”で解決できます。換気設備・ダクトは、見えないインフラ。だからこそ、設計の入り口で外さないことが最短のコスト最適化につながります。ここでは用途別の考え方から、失敗しない設計・施工の要点までをまとめます。


1|用途で変える“風の作り方”🧭

  • 飲食店 🍜:客席はドラフト感(風当たり)を抑えつつ、厨房の排気主導。排気>給気の軽い負圧で臭気拡散を防止。レンジフードやフード形状、補給給気の位置がキモ。

  • 工場・作業場 🏭:発熱源・粉塵源を「局所排気」で囲い込み、作業者側へ逆流させない。ライン変更が多い現場はダクトの分岐余裕と点検口を計画。

  • オフィス 🏢:CO₂・湿度を監視し、**換気量の可変化(VAV)**を検討。会議室は短時間高負荷に対応できるブースト運転を前提にゾーニング。

  • 医療・研究 🧪:清浄度や圧力差管理が命。陽圧・陰圧の切り替え要件は早期合意。フィルタメンテナンス性と差圧計の見える化が安全性を左右。

2|失敗しない設計の黄金則✅

  1. 発生源主導:ニオイ・熱・湿気・粉塵は“出た瞬間”に捕まえる。全体換気の前に局所排気を設ける。

  2. 給排のバランス:排気だけ増やすと隙間風・扉の開閉不良が発生。補給給気の量・経路・温湿度を同時設計。

  3. 風速と騒音の両立:ダクト内風速を上げれば細く安いが圧損・騒音が増える。騒音基準を先に決めて配管径を確定。

  4. 点検性の先出し:フィルタ・消音器・ダンパは**“触れる位置”**に。天井点検口サイズ、脚立高さ、工具の入りしろまで図面で明記。

  5. 将来余裕:テナント入替・ライン変更に備え、干渉しないルート20〜30%の風量余裕(制御で普段は絞る)。

3|施工でやりがちなNGと回避策⚠️🧯

  • NG:長いフレキダクトの多用 → 回避:可能な限り板ダクト+**緩やかな曲がり(大曲率)**で圧損を低減。

  • NG:ダンパ開度が“現場合わせ”のまま → 回避:**TAB(試運転・風量測定・バランス調整)**を計画に組み込み、記録を残す。

  • NG:排気フード直上に梁・照明 → 回避捕集効率が落ちるので設計段階で干渉チェック。

  • NG:外気取入口が排気口の近接 → 回避:風向、建物の負圧帯を計算。クロスコンタミを避ける離隔・高さを確保。

4|小さな投資で効く改善案💡

  • 可変風量制御(VAV):人の多い時間帯だけ自動で増風。省エネ&快適性UP。

  • DCファン+インバータ:微妙な風量調整が可能。騒音も低減。

  • CO₂・湿度見える化 📊:タブレット表示で“空気の不満”を可視化→苦情・体感ギャップが減る。

  • 消音器・防振:夜間店舗やオフィスフロア下階への音配慮でクレーム予防。

5|導入事例スケッチ(要約)📝

  • 焼肉店改装:排気主導→客席無風化、補給給気を床下スリットへ。臭気クレーム0・ガス使用量▲8%

  • 樹脂成形工場:局所排気+上部循環で上昇気流を制御。作業エリアWBGT▲1.5℃・夏場残業削減

“空気の設計”は利益に直結💴

ダクトは見えないからこそ、計測・制御・点検性を最初に仕込むのがコツ。私たちは用途に合わせた“ちょうど良い風”を設計し、施工からTAB、運用改善まで伴走します。お気軽にご相談ください😊

 

 

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第14回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~経済的役割~

ということで、換気工事がどのように日本の経済活動に貢献しているかを多角的に考察します。

 

「換気」は、健康や快適性に欠かせない生活要素でありながら、かつては建築設備の中でも“影の存在”でした。しかし、感染症対策・省エネ・環境対応などが重視される現代では、換気設備工事が果たす経済的役割が再評価されています。


1. 建築設備市場の重要な構成要素

換気設備工事は、空調・電気・給排水と並ぶ建築設備工事の中核分野です。

  • 住宅・商業施設・工場・学校・病院などあらゆる建物で不可欠な要素

  • 新築・改修市場における設備費の中で一定のシェアを占有

  • BIM対応などによる技術高度化が専門人材の価値を引き上げ

建築投資が活発なエリアでは、換気設備も確実に発注され、施工関連企業の業績安定化に寄与します。


2. 雇用創出と専門技能の経済的価値

換気設備の設計・施工・メンテナンスには専門性が求められるため、人材雇用と技能継承の現場でもあります。

  • 設備設計士・ダクト工・メンテナンス技術者などの職種を支える

  • 技能実習制度・職業訓練校と連動した技能者の育成

  • 地域密着の施工業者を中心に安定雇用が見込まれる業種

特に中小企業の基幹産業として、地域経済における持続的な雇用を支えています。


3. 製造業・流通業との連動による波及効果

換気設備工事が扱う製品や部材は、多くの関連産業とつながっています。

  • ファン、モーター、ダクト、フィルターなどの製造業界

  • 物流・保管・組立加工業者の稼働率向上

  • 高機能製品(熱交換型・省電力型など)の開発が技術革新を牽引

これにより、設備工事一件ごとに多くの経済プレイヤーが関与し、裾野の広い産業構造が形成されています。


4. 健康・安全関連市場との接点

換気は「空気の質」に直結し、健康や衛生、安全を支えるインフラでもあります。

  • 医療施設や福祉施設の空気環境整備

  • 感染症対策のための高性能換気装置の需要増

  • 学校や保育所におけるCO₂濃度管理の義務化と設備投資

これらの取り組みは国の補助金制度や予算事業ともリンクしており、公的資金の投資先としても注目されています。


5. 脱炭素・省エネ社会に向けた経済価値

換気設備は、省エネ化・脱炭素化への転換点としても重要です。

  • 熱交換換気ユニットの普及で空調エネルギーのロスを抑制

  • ZEH(ゼロエネルギーハウス)、ZEB(ゼロエネルギービル)への必須要素

  • 国際基準やカーボンクレジット市場との連動も今後期待される分野

環境技術投資の対象として、気候変動対策と経済活動を両立させるインフラといえるでしょう。


換気設備工事は、私たちが気づかないところで、快適さ・健康・生産性・省エネといった価値を提供し続けています。その裏には、広範な産業とのつながり、人材の流動性、設備投資の循環があり、日本経済の現場力を支える“静かなエンジン”とも言える存在です。これからの換気工事は、ただの「空気の入れ替え」ではなく、「未来の経済空間」を設計する仕事へと進化していくでしょう。

 

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第13回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~多様化~

ということで、換気設備工事における多様化について、技術、設計、施工、社会的背景の視点から詳しく解説します。

 

私たちが日々暮らす空間の“空気の質”を支える換気設備。その重要性は、COVID-19をきっかけに社会的にも広く認識されるようになりました。現在では住宅から商業施設、医療・産業施設に至るまで、さまざまなニーズに応じた換気設備工事が求められています。


1. 換気の役割の再定義 ― 健康と快適性を支える基盤

従来、換気設備は“臭いや湿気の排出”が主な目的とされてきましたが、現在では以下のように機能が多層化しています。

  • ウイルス・菌・微粒子の除去

  • 二酸化炭素濃度の管理による集中力・作業効率の維持

  • 住宅や建物の長寿命化(結露・カビ対策)

  • 高齢者や子どもの健康維持のための空気環境管理

こうした新たな目的の登場により、換気工事の内容も大きく変化しています。


2. 建物・用途別の換気工事の多様化

  • 住宅用換気:第1種(機械給排気)、第2種、第3種と選択肢が広がる。高気密住宅では全熱交換器の導入が主流に。

  • オフィス・店舗:省エネと快適性のバランス、天井埋込型や個別制御型も普及。

  • 医療・福祉施設:陰圧室、HEPAフィルター、ゾーン分け対応など、感染症対策としての高度換気設計。

  • 工場・研究施設:排気・給気の同時管理、有害物質の局所排気設備が必須。

用途ごとに求められる性能や法規制も異なるため、柔軟で高度な施工設計が求められます。


3. 技術の多様化と高度化 ― 換気のスマート化へ

  • CO₂センサー連動換気システム:室内人数に応じて自動制御。

  • 熱交換型換気システム:冬季の熱損失を抑え、省エネと快適性を両立。

  • ダクトレス換気ユニットの普及:小規模空間やリフォーム向けに施工の柔軟性が高い。

  • BIM(建築情報モデリング)対応設計:空調・配管・構造との干渉確認を効率化。

これらの技術は、換気を“目に見えない設備”から“制御可能な資産”へと進化させています。


4. 建築との融合 ― デザイン性・省スペース・メンテナンス性の配慮

現代の換気設備工事では、以下の点も重視されています。

  • 外観や内装と調和するデザイン性(グリルの意匠・配置)

  • 点検口の配置やメンテナンスのしやすさの考慮

  • 狭小住宅やリノベーション建築への省スペース設計

換気の「機能美」が求められる時代へと移行しています。


5. 災害対応・環境配慮との統合

  • 災害時の非常用換気ルート確保(停電時換気、手動操作系統)

  • PM2.5や黄砂、花粉対応フィルターの標準化

  • 再生可能エネルギーとの連動(太陽光+換気ファン制御)

社会的課題や環境意識の高まりにより、換気工事の設計思想自体も変わりつつあります。


かつては「目立たない設備」とされてきた換気設備。しかし現代では、健康・省エネ・防災・快適性すべてに関わる重要なインフラとして、その設計と施工はますます多様化・高度化しています。私たちの暮らしを“見えない空気”の面から支える換気設備工事は、今後も建築や都市環境の未来と共に進化し続けることでしょう。

 

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第12回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の“未来”について

~スマート設備とカーボンニュートラル社会に向けて~

建築業界全体で、カーボンニュートラル・省人化・スマート建築といった未来へのキーワードが飛び交うなか、ダクト工事の在り方にも変化の兆しが現れています。

「空気を送るだけ」の時代は終わり、これからは**“環境を制御するダクト”**へと進化していくのです。

一般的な市場での例を基に解説していきます。


✅ 1. BIMと連携した“プレファブ施工”の拡大

 

今後の建築現場では、設計段階から**BIM(Building Information Modeling)**によって建物全体が3Dでモデリングされ、施工も連動していくことが主流になります。

その中でダクト工事も:

  • 工場でのプレファブ化(ユニット組立済み)

  • 現場での吊り込みのみで完了

  • 施工手間・廃材・人員コストを大幅削減

といった省力化と環境対策を両立する方法が広がりつつあります。


✅ 2. スマートセンサーと連携する“呼吸するダクト”

 

IoT時代の今、ダクトも「空気の通り道」から「空気環境を制御する装置」へと変わってきています。

  • 二酸化炭素濃度センサーと連動した風量制御

  • 温湿度に応じた風向の自動切り替え

  • HEPAフィルターやUV照射による殺菌機能付きダクト

  • リモート管理できるダンパーと制御装置

これにより、病院・オフィス・学校などで感染症対策や快適性向上に貢献する“スマートダクト”のニーズが高まっています。


✅ 3. 脱炭素社会に向けた省エネダクトと新素材開発

 

地球温暖化対策の一環として、ダクト材も軽量・高断熱・低CO₂素材への切り替えが進行中です。

  • アルミ複合材や発泡材での軽量ダクト

  • 内面加工で風の抵抗を減らし、省エネ運転を実現

  • リサイクル鋼板を使ったエコロジーダクト

将来的には、建築全体の**LCA(ライフサイクルアセスメント)**評価において、ダクト材選びがCO₂評価に直結する時代が来るかもしれません。


✅ 4. 人手不足と“省人化施工”への挑戦

 

建設業界全体の課題である人材不足。ダクト工事も例外ではなく、若手職人の確保が難しい状況が続いています。

そこで注目されているのが:

  • ダクト自動加工機による工場製造の自動化

  • 吊り込み用アシスト機器(天井昇降台など)

  • AR・MRによる現場ナビゲーション

“道具が職人を支える”時代から、“テクノロジーが職人を育てる”時代へと、現場の進化が始まっています。


▶ まとめ:未来のダクト工事は“空間の質”を創る仕事

 

これからのダクト工事は、単なる「配管」ではありません。

  • 空気の質をコントロールし

  • 快適な空間をデザインし

  • 地球環境と調和する建物づくりに貢献する

そんな未来型のダクト工事が、健康・安全・持続可能な暮らしの礎となっていきます。

私たちが日々呼吸するその空気の背景に、未来を見据えたダクト工事がある。
そう信じて、今日も私たちは天井裏の“見えない現場”で、着実に進化を続けています。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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第11回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の“環境”について

~空気と共に、人と建物を支える静かな仕事~

ダクト工事は、空調・換気・排煙といった空気の流れをつくるために、建物の内部に風の通り道(ダクト)を設置する工事です。

見えない場所に施工されることが多いため目立ちませんが、建物内の空気環境や衛生状態を保つために不可欠なインフラです。

しかしその裏側には、**施工現場の作業環境や、使用資材による環境負荷、メンテナンス性といった多面的な“環境課題”**が存在しています。


✅ 1. 現場の作業環境:狭くて暑くて過酷

 

ダクト工事の現場は、主に天井裏・地下・機械室・屋根上といった閉鎖空間や高所作業が多いのが特徴です。

現場作業の環境リスク:

  • 天井裏の高温多湿(特に夏場は熱中症リスク)

  • 脚立・足場上での作業による転倒・落下の危険

  • 他業種との同時施工による作業スペースの圧迫

  • 重量物(スパイラル管、角ダクトなど)の搬入と持ち上げ

これらを防ぐために、現場では空調服の着用、熱中症アラートの導入、昇降設備の工夫、安全教育の徹底などの対策が進められています。


✅ 2. 使用資材と環境負荷

 

ダクト材には主に亜鉛メッキ鋼板(ガルバリウムやスパイラル管など)が使われますが、その加工・運搬には電力や資材コストがかかります。

また、施工中に発生する環境負荷として以下のようなものが挙げられます:

  • 鋼材の切断時の粉じん・騒音

  • アングルや吊り材の取り付け時の廃材・端材

  • 運搬時のCO₂排出

  • グラスウール等の断熱材による飛散(保護具が必須)

近年では、軽量化されたプレハブダクトや高反射塗装タイプの製品、さらには環境認証(LEED等)に対応した資材が登場し、環境負荷低減への意識が高まりつつあります。


✅ 3. 空調の省エネとダクト施工の関係

 

ダクトの“断熱性”や“気密性”は、空調効率に大きな影響を及ぼします。
隙間だらけのダクトでは、せっかく冷やした/温めた空気が逃げてしまい、無駄なエネルギー消費を招くことになります。

  • 気密性の高いフランジ接続

  • 断熱材の確実な施工

  • 最短経路・曲がり最小の配管設計

  • 風速・風量のバランス調整

これらを意識することで、エネルギー効率が改善され、CO₂削減にも貢献できるのです。


✅ 4. 維持管理という「見えない環境改善」

 

設置後のダクトは、放っておくとホコリ・カビ・有害菌の温床になります。
特に厨房排気や工場の排気系統では、油や粉じんが蓄積され、火災や健康被害のリスクも高まります。

これに対応するために:

  • 定期的な内部清掃

  • 点検口の適切な設置

  • メンテナンスしやすい配管レイアウト

  • 施工時から維持管理を見越した設計

など、長期的視点での“環境衛生管理”を意識した工事が求められています。


▶ まとめ:空気を扱う仕事は、環境をつくる仕事

 

ダクト工事は、「空気のインフラ工事」と言っても過言ではありません。
私たちが知らないうちに呼吸している空気、その質と流れを裏側で支えているのが、ダクト技術なのです。

だからこそ、施工現場の環境、資材の環境負荷、空調効率、メンテナンス性のすべてが「環境への責任」と直結しています。

次回は、そんなダクト工事がどのように“未来”へと進化していくのか、その可能性を掘り下げてみましょう。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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第10回ダクト工事雑学講座

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株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の鉄則

~プロが必ず守るべき5つの基本~


前回の「ダクト工事の歴史」に続き、今回は現場で働くプロが大切にしている**「ダクト工事の鉄則」**について、じっくりとご紹介していきます。

空気の通り道であるダクトは、正確さ・丁寧さ・安全性のどれが欠けても、快適な空間は実現できません。見えないからこそ、細部にまで気を配る。それがダクト職人たちの矜持です。


■ 鉄則①:空気の“流れ”を最優先に設計する

 

どんなダクト工事も、まずは空気の設計から始まります。
空気は、水や電気と違い「目に見えない」もの。その分、計算と経験に基づいた設計が求められます。

  • 無理な曲がりは空気抵抗を増やし、効率を下げる

  • 細すぎるダクトは騒音・振動の原因に

  • 太すぎると無駄なエネルギー消費やスペースの浪費に

これらを踏まえて、最もスムーズに空気が流れるラインを描くことが鉄則です。


■ 鉄則②:気密性の確保は“命綱”

 

施工の現場で最も大事にされるのが、接合部の処理=気密性です。

  • ジョイント部分はアルミテープやシール材で丁寧にふさぐ

  • 天井裏で見えない箇所こそ徹底チェック

  • ダクト内の風圧による振動も想定して強固に固定

ここが甘いと、空気漏れによる性能低下・騒音・結露・カビの発生など、後々のトラブルに直結します。


■ 鉄則③:清掃と点検を“想定して”組む

 

設置して終わりではないのがダクトの世界。
むしろ本番は「使われ続けるこれから」にあります。だからこそ、清掃・点検をしやすい設計にすることも大事な鉄則

  • 清掃口を適切な場所に設けておく

  • 足場のない場所には点検用のアクセススペースを確保

  • 内部が油汚れしやすい厨房ダクトは防火ダンパーの設置も忘れずに

数年後のメンテナンス性を想定できるかどうかで、プロの真価が問われます。


■ 鉄則④:使用目的に合った材質を選ぶ

 

ダクトにはさまざまな種類の材料があります。現場によってはその選定も命取りになることがあります。

  • 一般空調用 → 亜鉛メッキ鋼板製

  • 厨房排気用 → 耐油・耐熱タイプ

  • 病院・研究室 → 抗菌・抗腐食性の高いステンレス製

  • 外気取り入れ口 → 断熱材付きの保温ダクト

「何を運ぶか」「どんな環境か」に応じた材質選びも、ダクト工事の鉄則です。


■ 鉄則⑤:安全第一。火災・感染・事故を未然に防ぐ

 

最後の鉄則、それは**「安全性」**です。
ダクトは火災時の煙を運び、空気感染のリスクにも関わる重要な設備。だからこそ、以下のような安全配慮が欠かせません。

  • 防火ダンパーの設置(火災時に自動で空気の流れを遮断)

  • 排煙ダクトの防熱施工

  • 汚染区域と非汚染区域を分けたゾーニング

  • 定期的なフィルター交換・漏れ検知の体制整備

命に関わる設備だからこそ、万が一を想定した安全設計が必要不可欠なのです。


■ まとめ

 

ダクト工事は、ただの「配管」ではありません。
空気という、目に見えず、しかし人の命と直結する存在を操る仕事です。だからこそ、どんな現場でも、緻密な計画・丁寧な施工・確かな管理が求められます。

この鉄則を守り続けることで、私たちは今日も「目には見えない快適さ」を届け続けています。

次回もお楽しみに!

 

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第9回ダクト工事雑学講座

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株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

 

ダクト工事の歴史

~人類と「空気の道」の歩み~


本日は「ダクト工事の歴史」について深掘りしてみましょう。


普段あまり注目されることのない“ダクト”ですが、私たちが快適に暮らす上でなくてはならない存在です。そんなダクトにも、長い歴史と進化の物語があるんです。


■ 古代の風と人間の知恵:通風のはじまり

 

実は、空気の流れをコントロールするという発想そのものは、何千年も前から人類が持っていた知恵です。

たとえば古代ペルシャでは、「ウィンドキャッチャー(風塔)」と呼ばれる塔状の建築が使われていました。これは建物の上部に風を受ける口を設け、自然の風を室内へ導き、暑さをしのぐための仕組みです。

また、「カナート」という地下水路から冷気を引き入れて建物を冷やすという技術もありました。
いずれも、自然の空気の流れを巧みに利用して室内環境を整えるという考え方であり、現代のダクト工事に通じる“原点”ともいえるでしょう。


■ 工業化とともにダクトは誕生した

 

本格的に「ダクト」が生まれたのは、19世紀後半の産業革命以降です。


この時代には蒸気機関や工場が発展し、多くの人が密閉された空間で働くようになりました。その結果、室内の温度や空気質のコントロールが求められるようになり、空調や換気の設備としてダクトが発展していきます。

最初は、**暖房用の温風を建物内に送り届けるための“温風管”**として登場しました。次第に冷房設備の普及とともに、冷風用のダクト、さらには厨房や工場での排気・排煙用ダクトなど、目的に応じて多様化していきました


■ 日本におけるダクト工事の発展

 

日本では、戦前から一部の施設にダクト設備が導入されていましたが、本格的に普及し始めたのは戦後の高度経済成長期からです。

1960年代〜1970年代にかけて、オフィスビル・学校・病院・商業施設が全国各地に建設される中で、エアコンとともにダクトの重要性が急速に高まりました
この時代、ダクトの設計・製造・施工を担う専門業者も数多く誕生し、今日のダクト工事業界の礎が築かれました。

昭和後期から平成にかけては、より省エネ・高効率な換気システムが求められるようになり、建築物ごとの最適な空調設計が必須に。
さらには耐震性、断熱性、メンテナンス性など、ダクトに求められる機能は年々高度化しています。


■ 現代のダクトは「健康と安全を守る装置」へ

 

最近では、感染症対策やシックハウス対策として、ダクトの役割が再評価されています。
特に病院や高齢者施設では、空気の流れが人の命を左右する場面も少なくありません。

  • 陰圧室や陽圧室における空気管理

  • 飲食店での油煙除去や厨房換気

  • 工場での有害ガス・粉じん排出

  • 住宅での24時間換気システム

これらすべてに、ダクトは関わっています。
**ただの「空気の通り道」ではなく、「命を守る管」**として、その重要性は今後ますます増していくでしょう。


■ 未来のダクト工事はどうなる?

 

今後、建築技術の進化により、ダクトにも次のような変化が期待されています。

  • IoTによる空調制御との連動(スマート換気)

  • 省エネ性能のさらなる向上

  • 再生可能エネルギーと連動した空気システム

  • 断熱材や防音材を一体化した高性能ダクトの開発

また、都市部ではダクトを見せる「インダストリアルデザイン」として、天井裏に隠さずあえて露出する施工も人気を集めています。


次回は、「ダクト工事の鉄則(守るべきルール)」をじっくりご紹介します!


設計・施工・メンテナンスの現場で、プロたちがどのような基準と信念で仕事をしているのか、ぜひチェックしてください。

 

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

 

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第8回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。

シリーズ7「ダクト清掃の具体的な方法と注意点」に続く、シリーズ8は、**「ダクトトラブル事例と即効対策ガイド」**をお届けします。実際に現場で起きやすいトラブルをピックアップし、原因とその場でできる応急対応、根本解決のポイントを解説します♪


1. 風量が急激に低下したとき

事例:いつも通り運転していたのに、急に室内の風が弱くなった。
主な原因:ダクト内部のホコリ詰まり、フィルター目詰まり、ダクトの部分破損

即効対策

  1. フィルター清掃

    • まずは換気口やフィルターを外し、目詰まりを取り除く。

  2. 点検口からの目視確認

    • 点検口を開けて、内部の大きな塊をロングブラシで掻き出す。

根本解決

  • 定期清掃スケジュールの見直し(頻度アップ)

  • ダクト内に防塵ネットを追加設置


2. 異音・振動が発生したとき

事例:運転中にガタガタ、ゴーッという異音が発生。振動も強い。
主な原因:ダクトの接合部の緩み、ファン不均衡、支持金具の緩み

即効対策

  1. 接合部の増し締め

    • 緩んでいるフランジや吊り金具を手持ちの工具で締め直す。

  2. ファン点検

    • ファンカバーを開けて、羽根の汚れや偏りをチェック。

根本解決

  • エアリークテストで全接合部を検査・再シーリング

  • 振動吸収ゴムや防振吊り具への交換


3. カビ臭・悪臭がする

事例:室内にカビ臭や油臭が漂い、不快感がある。
主な原因:湿気によるカビ繁殖、飲食店ダクトの油汚れ蓄積

即効対策

  1. 消臭洗浄

    • 抗菌・消臭効果のある洗浄剤を噴霧し、ブラシでこすり落とす。

  2. 内部乾燥

    • 清掃後、強制送風でしっかり乾燥させる。

根本解決

  • 定期的な防カビコーティングの実施

  • ダクト内湿度管理の強化(ドライユニット設置)


4. 空気漏れで冷暖房効率が落ちる

事例:エアコンをかけても室温が上がらず、電気代だけが増える。
主な原因:ダクトのひび割れ、接合部シール不良

即効対策

  1. エアリーク箇所の目視・触診

    • 手をかざして風を感じる場所を特定。

  2. 簡易シール材で補修

    • 市販のダクト用シーラントで応急的に穴を埋める。

根本解決

  • 全ダクトのエアリークテスト実施

  • 破損部のパネル交換または全面再シール


まとめ—迅速対応で快適環境を守ろう!

  1. 風量低下→フィルター&内部詰まりをクリア

  2. 異音振動→接合部増し締め+ファン点検

  3. 悪臭→消臭洗浄+内部乾燥

  4. 空気漏れ→応急シーリング+テストで根本補修

株式会社打田設備ではダクトトラブル緊急対応から恒久対策まで一貫サポートぜひ相談ください
次回シリーズ9お楽しみ

 

お問い合わせはこちらから!

 

 

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第7回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。

シリーズ6「ダクトのメンテナンスと定期点検の重要性」に続く、シリーズ7は、**「ダクト清掃の具体的な方法と注意点」**をお届けします。ダクト内部の汚れを徹底的に除去し、換気・空調性能を回復させるための実践的な手順と、安全に作業を行うためのポイントを解説します♪


1. 清掃前の準備

  1. 作業計画の策定

    • 清掃対象エリアのダクト経路図を用意

    • 清掃頻度・方法(ブラシ/エアブロー/洗浄剤)を決定

  2. 安全対策

    • 防塵マスク、保護メガネ、手袋、長袖・長ズボンの着用

    • 作業エリアの電源・空調機器を停止し、作業標識を掲示


2. ダクト清掃の主な手順

(1) 粗塵除去(乾式清掃)

  • ロングブラシ/ワイヤーブラシ
    ダクト内部をブラシで擦り、ホコリや大きな塊を掻き出す

  • エアブロー(圧縮空気)
    ブラシで落としきれない微細な粉塵を吹き飛ばし、地上に落とす

  • 集塵装置の使用
    集塵機をダクト開口部に接続し、粉塵を吸引しながら作業


(2) 油汚れ・頑固汚れの洗浄(湿式清掃)

  • 中性またはアルカリ性洗浄剤
    油汚れ用の専用洗剤を希釈し、スプレーまたは拭き取りで塗布

  • 高圧ウォッシュ
    小型高圧洗浄機でダクト内部を均一に洗浄

  • すすぎ・乾燥
    清水で洗剤残留を完全に洗い流し、送風機や自然乾燥で内部を乾かす


3. 清掃後の仕上げ点検

  1. 内視鏡チェック
    ダクトカメラで内部を撮影し、汚れの取り残しを確認

  2. 風量・静圧測定
    清掃前後で風量計を使い、性能回復を数値で検証

  3. 防錆・抗菌処理
    必要に応じてダクト内面に防錆コーティングや抗菌剤を塗布


4. 安全・衛生上の注意点

  • 換気機器の完全停止
    作業中に送風ファンが回らないよう、必ず電源をオフ

  • 高所作業の安全確保
    足場や脚立の安定を確認し、転落防止用ベルトを着用

  • 化学薬品の取り扱い
    洗浄剤の使用説明書を遵守し、換気を十分に行う


5. 清掃頻度の目安

環境・用途 清掃頻度
オフィスビル 年1~2回
飲食店・厨房 3~6か月に1回
工場・工業施設 3か月に1回以上
病院・クリニック 半年に1回以上

まとめ—定期清掃でダクト性能を長持ちさせよう!

  1. 計画的に準備し、安全対策を徹底

  2. 乾式→湿式の順で効率よく汚れを除去

  3. 内視鏡・風量測定で仕上がりをチェック

  4. 高所・化学薬品の作業は特に注意

  5. 用途に応じた清掃頻度を守る

株式会社打田設備では専門機器ダクト清掃サービスってます見積もり現地調査無料ですので気軽相談ください次回シリーズ8お楽しみ