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月別アーカイブ: 2025年6月

第12回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の“未来”について

~スマート設備とカーボンニュートラル社会に向けて~

建築業界全体で、カーボンニュートラル・省人化・スマート建築といった未来へのキーワードが飛び交うなか、ダクト工事の在り方にも変化の兆しが現れています。

「空気を送るだけ」の時代は終わり、これからは**“環境を制御するダクト”**へと進化していくのです。

一般的な市場での例を基に解説していきます。


✅ 1. BIMと連携した“プレファブ施工”の拡大

 

今後の建築現場では、設計段階から**BIM(Building Information Modeling)**によって建物全体が3Dでモデリングされ、施工も連動していくことが主流になります。

その中でダクト工事も:

  • 工場でのプレファブ化(ユニット組立済み)

  • 現場での吊り込みのみで完了

  • 施工手間・廃材・人員コストを大幅削減

といった省力化と環境対策を両立する方法が広がりつつあります。


✅ 2. スマートセンサーと連携する“呼吸するダクト”

 

IoT時代の今、ダクトも「空気の通り道」から「空気環境を制御する装置」へと変わってきています。

  • 二酸化炭素濃度センサーと連動した風量制御

  • 温湿度に応じた風向の自動切り替え

  • HEPAフィルターやUV照射による殺菌機能付きダクト

  • リモート管理できるダンパーと制御装置

これにより、病院・オフィス・学校などで感染症対策や快適性向上に貢献する“スマートダクト”のニーズが高まっています。


✅ 3. 脱炭素社会に向けた省エネダクトと新素材開発

 

地球温暖化対策の一環として、ダクト材も軽量・高断熱・低CO₂素材への切り替えが進行中です。

  • アルミ複合材や発泡材での軽量ダクト

  • 内面加工で風の抵抗を減らし、省エネ運転を実現

  • リサイクル鋼板を使ったエコロジーダクト

将来的には、建築全体の**LCA(ライフサイクルアセスメント)**評価において、ダクト材選びがCO₂評価に直結する時代が来るかもしれません。


✅ 4. 人手不足と“省人化施工”への挑戦

 

建設業界全体の課題である人材不足。ダクト工事も例外ではなく、若手職人の確保が難しい状況が続いています。

そこで注目されているのが:

  • ダクト自動加工機による工場製造の自動化

  • 吊り込み用アシスト機器(天井昇降台など)

  • AR・MRによる現場ナビゲーション

“道具が職人を支える”時代から、“テクノロジーが職人を育てる”時代へと、現場の進化が始まっています。


▶ まとめ:未来のダクト工事は“空間の質”を創る仕事

 

これからのダクト工事は、単なる「配管」ではありません。

  • 空気の質をコントロールし

  • 快適な空間をデザインし

  • 地球環境と調和する建物づくりに貢献する

そんな未来型のダクト工事が、健康・安全・持続可能な暮らしの礎となっていきます。

私たちが日々呼吸するその空気の背景に、未来を見据えたダクト工事がある。
そう信じて、今日も私たちは天井裏の“見えない現場”で、着実に進化を続けています。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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第11回ダクト工事雑学講座

皆さんこんにちは!


株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

 

 

ダクト工事の“環境”について

~空気と共に、人と建物を支える静かな仕事~

ダクト工事は、空調・換気・排煙といった空気の流れをつくるために、建物の内部に風の通り道(ダクト)を設置する工事です。

見えない場所に施工されることが多いため目立ちませんが、建物内の空気環境や衛生状態を保つために不可欠なインフラです。

しかしその裏側には、**施工現場の作業環境や、使用資材による環境負荷、メンテナンス性といった多面的な“環境課題”**が存在しています。


✅ 1. 現場の作業環境:狭くて暑くて過酷

 

ダクト工事の現場は、主に天井裏・地下・機械室・屋根上といった閉鎖空間や高所作業が多いのが特徴です。

現場作業の環境リスク:

  • 天井裏の高温多湿(特に夏場は熱中症リスク)

  • 脚立・足場上での作業による転倒・落下の危険

  • 他業種との同時施工による作業スペースの圧迫

  • 重量物(スパイラル管、角ダクトなど)の搬入と持ち上げ

これらを防ぐために、現場では空調服の着用、熱中症アラートの導入、昇降設備の工夫、安全教育の徹底などの対策が進められています。


✅ 2. 使用資材と環境負荷

 

ダクト材には主に亜鉛メッキ鋼板(ガルバリウムやスパイラル管など)が使われますが、その加工・運搬には電力や資材コストがかかります。

また、施工中に発生する環境負荷として以下のようなものが挙げられます:

  • 鋼材の切断時の粉じん・騒音

  • アングルや吊り材の取り付け時の廃材・端材

  • 運搬時のCO₂排出

  • グラスウール等の断熱材による飛散(保護具が必須)

近年では、軽量化されたプレハブダクトや高反射塗装タイプの製品、さらには環境認証(LEED等)に対応した資材が登場し、環境負荷低減への意識が高まりつつあります。


✅ 3. 空調の省エネとダクト施工の関係

 

ダクトの“断熱性”や“気密性”は、空調効率に大きな影響を及ぼします。
隙間だらけのダクトでは、せっかく冷やした/温めた空気が逃げてしまい、無駄なエネルギー消費を招くことになります。

  • 気密性の高いフランジ接続

  • 断熱材の確実な施工

  • 最短経路・曲がり最小の配管設計

  • 風速・風量のバランス調整

これらを意識することで、エネルギー効率が改善され、CO₂削減にも貢献できるのです。


✅ 4. 維持管理という「見えない環境改善」

 

設置後のダクトは、放っておくとホコリ・カビ・有害菌の温床になります。
特に厨房排気や工場の排気系統では、油や粉じんが蓄積され、火災や健康被害のリスクも高まります。

これに対応するために:

  • 定期的な内部清掃

  • 点検口の適切な設置

  • メンテナンスしやすい配管レイアウト

  • 施工時から維持管理を見越した設計

など、長期的視点での“環境衛生管理”を意識した工事が求められています。


▶ まとめ:空気を扱う仕事は、環境をつくる仕事

 

ダクト工事は、「空気のインフラ工事」と言っても過言ではありません。
私たちが知らないうちに呼吸している空気、その質と流れを裏側で支えているのが、ダクト技術なのです。

だからこそ、施工現場の環境、資材の環境負荷、空調効率、メンテナンス性のすべてが「環境への責任」と直結しています。

次回は、そんなダクト工事がどのように“未来”へと進化していくのか、その可能性を掘り下げてみましょう。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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