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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
「図面はきれい、でも天井裏はもっとドラマがある。」——ダクト工事の難しさは、限られた空間に“気持ちよく流れる道”を作ることにあります。今回は板金の基本からフランジの選択、吊り・支持金物の据え方、気密・防火・断熱、そして試験・記録まで、現場で役立つディテールを失敗談込みでまとめます。
1. 板金・ダクト製作の基礎
• 材質:ガルバ(亜鉛メッキ鋼板)が汎用。塩害・薬品環境はSUS、臭気・油煙は板厚増しや耐油シールを検討。
• 形状:角ダクト(矩形)は納まり自由度が高い。スパイラル(円形)は圧損・漏風・剛性に優れ、軽量で施工が速いのが強み。
• エルボR:90°エルボはR=ダクト幅の1.5倍以上を目安。ショートエルボは損失大→サイレンサ追加や“手前の直管長”で乱流緩和を。↩️
• エキスパンション:温度差・長尺ダクトは伸縮を吸収するキャンバスやスリットで応力逃がし。天井割付けで“揺れ代”も計画。
2. フランジ・継手の作法(気密とスピードのバランス)
• 共板フランジ(TDC/TDF):軽量・早いが気密はシール材頼み。屋外・負圧大なら気密等級に注意。
• アングルフランジ:強度・気密良し、ただし重量増&作業手数。大型ダクトや屋外立上りに向く。
• バーリング+スライドダクト:小径・枝で有効。組立スピードが出る。
• ガスケット:ネオプレン/EPDMで連続貼り。ジョイントの“切れ目”をボルト位置に置かないのが小ワザ。
現場メモ:ボルトは対角締めで面圧均一。増し締めのタイミングを断熱前に一度設けると漏風が激減。
3. 吊り・支持金物(落ちない・揺れない・鳴かない)
• 吊りボルト:M8〜M12が主流。インサート位置の墨出しを最優先に。梁筋を避ける—あとからズラすのは地獄。
• 揺れ止め:長尺・高速気流はブレース必須。45°でテンションを持たせ、共振帯域を逃がす。
• キャンバス接続:ファン近傍は振動アイソレーションを。キャンバスの捻れ・撓みは音源になるので直線で。
• レベル出し:レーザーで通りを合わせ、エルボ手前後に直管を確保(理想は水力径の3〜5倍)。流れが整う=静かで風量が出る。
4. シール・気密—漏れは“静圧と電気代”の敵
• シール材:ブチルテープ+アルミテープの二重が鉄板。シーラントは塗り厚一定、端部は折り返し。
• 気密等級:漏えい率(%)で評価。外気導入・負圧系は一段上の等級を狙う。差圧が高いと臭気逆流が顕在化しやすい。
• テスト:スモークテストで局所の漏れを可視化。差圧計でフランジ跨ぎの圧損増を確認。
5. 区画貫通・防火(“穴を通す”は法規の山場)
• スリーブ:躯体貫通はスリーブ必須。鋼製+モルタル充填、耐火シーリングで隙間0を目標。
• 防火ダンパ(FD)/防煙ダンパ(SD):図面と実機の型式一致をダブルチェック。温度ヒューズの位置・向き、点検口の確保が命。
• ケーブル・配管との離隔:電気・給排水との干渉は施工図段階で解決。現場で“下げる”のは最終手段。
6. 断熱・防露(露点を跨がせない)
• 材質:グラスウール、ゴム系、ポリエチレンなど。結露区間は厚め、屋外はアルミ被覆で耐候。
• ジョイント:目地のズレは結露の温床。バンド+テープで気密を担保。
• ドレン:全熱交換器・サイレンサで結露が出る場合は勾配1/100、封水トラップを忘れず。
7. 騒音対策(“寸法”が最強のサイレンサ)
• 末端風速を落とす→ドラフト・吹鳴り軽減。
• 直管長の確保→乱流抑制で音源低減。
• サイレンサは長さ>数。短いのを2本より必要長の1本の方が効く。
8. 試験・調整・記録(Cx)
1) 系統ごとにダンパ全開→総風量を確認
2) 末端で目標風量±10%にバランス
3) CO₂負荷試験(仮設で人員/発生器)→応答性とVAV挙動を記録
4) 騒音・振動、差圧、温湿度、電流値を写真+数値で残す
5) フィルタ差圧の初期値を引き渡し書に明記
記録は時系列で見返せるよう、フォルダ規約とファイル命名を統一。
9. 工程と段取り(干渉は図面で終わらせる)
• BIM/3Dで梁下・配管・ケーブルラックと高さ関係を確定。
• 先行墨出しで“吊りピッチ”を実寸化。
• ユニット化(工場でプリフレーム)で現場工数と火気リスクを削減。
10. 失敗事例から学ぶ
• ケース1:FDに点検口がない→ 検査で開かず詰み。ダンパ前後300mmの点検域をルール化。
• ケース2:キャンバスがねじれ→ 低周波が“ボーボー”。接続方向のマークを製作段階で。
• ケース3:断熱目地が縦横ズレ→ 天井面に水玉模様。職長が最初の1スパンを現示して見本化。
• ケース4:貫通後の隙間→ 臭気移行&防火不適合。完了前の自主管理票に“貫通写真”項目を追加。
11. 安全衛生(切らない・落とさない・吸わせない)
• 切創:エッジ養生・防刃手袋・袖口。
• 落下:工具落下防止、脚立の開き止め。
• 粉じん:コア抜きは集じん機併用、作業後の空調復帰タイミング厳守。
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まとめ
“まっすぐ・揺れない・漏れない・鳴らない”。この4拍子が揃うと、ダクトは存在を感じさせない名脇役になります。次回は“住宅の24時間換気・運用のコツ”へ。住まいならではの静音・省エネ・メンテの知恵を深掘りします。✨
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
換気設備は“機器の寄せ集め”ではなく“チーム”。各ポジションの適材適所を見極めないと、風量が出ない・うるさい・結露する・メンテしづらいと四重苦になります。今回は主要機器の選定ポイントを現場目線でまとめます。
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1. ファン(送排風機)—心臓部は静圧と効率で選ぶ
• 風量-静圧特性:ダクト損失(Pa)を読み、運転点が効率の山に乗る型式・回転数を選ぶ。
• 型式:前向き羽根(低静圧・低騒音)、後ろ向き羽根(中〜高静圧・高効率)、SIROCCO/ターボ、軸流(大量風量・低静圧)。
• モータ:EC/DCは部分負荷効率が高く、デマンド制御と相性良し。インバータ駆動の誘導機も依然主力。
• 保守:ベルト駆動はテンション管理・プーリ摩耗、直結はベアリング交換周期。点検スペースの“逃げ”確保は必須。
実務メモ:仕様書に期待運転点(風量・静圧・効率・回転数)と騒音基準を明記。ファン選定は“曲線を合わせる作業”です。
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2. 全熱交換器(熱交換換気)—快適と省エネの要
• 方式:回転式(ロータリー)は効率が高く圧損低め、固定式(対向流プレート)は漏れが少なくメンテが容易。
• 効率:顕熱・全熱(湿気)の回収率を確認。冬の乾燥・夏の蒸し暑さを和らげる。
• 霜取り:寒冷地は冬期のバイパス運転やプレヒートを想定。ドレンの処理を忘れず。
• 衛生:交換素子の清掃アクセス、フィルタ前置き、カビ対策。
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3. ダンパ—空気の交通整理係
• 手動/自動:バランス取り(蝶形)、防火・防煙、VAV(可変風量)用のアクチュエータ付など。
• 設置位置:エルボ直後は避け、直管部を確保。センサーとセットで制御の再現性を確保。
• 気密:閉止漏れ(Lクラス)と作動トルクをカタログで確認。
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4. サイレンサ—“長さ”をケチると効かない
• 形式:ストレート、スプリット、片吸い。周波数特性を見ながら選ぶ。
• 圧損:静圧を食うので、前後のファン点を見直し。短く太くが基本。
• 防火:区画貫通部は耐火・不燃材を選ぶ。
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5. フィルタ—空気のふるい
• 性能:JISやMERV相当の捕集効率、初期・最終圧損、交換周期。
• 差圧計:差圧が“交換の合図”。見える化でメンテ抜けを防止。⏱️
• プレフィルタ+中高性能の二段で、寿命と衛生を両立。
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6. センサー&制御—無駄なく賢く回す頭脳
• CO₂/VOC/PM2.5:在室反応で外気量やVAVを制御。感染症対策としても有効。
• 温湿度:デシカントや加湿器制御と連携。
• BAS:スケジュール運転、清掃・交換アラーム、遠隔監視。ログは“改善の教科書”。
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7. 納まり—図面の外に本当の難所がある
• 点検スペース:パネルが開く半径、フィルタが引き抜ける奥行、脚立の設置余地。
• 搬入経路:エレベーターサイズ、階段の折れ、屋上クレーンの可否。
• 雨仕舞:屋外設置は防水立上り、ケーブルグランド、塩害対策。
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8. 見積・比較の読み方
• 含まれるもの/含まれないもの(電源工事、コア抜き、足場、試運転調整)。
• 性能保証(風量、静圧、効率、騒音、漏風率)。
• 運用コスト(フィルタ寿命、電力、清掃人件費)。
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9. 失敗事例と対策(ケーススタディ)
• ケースA:静圧が足りない
ロータリーフィルタの最終圧損が想定より大きく、風量が設計比70%。→ ファンの余力が無い。ファンリミット+モータ容量に余白を持たせ、差圧アラームで早期清掃。
• ケースB:うるさくてクレーム
末端で風速が8m/s、吹出口直下のデスクでドラフト感。→ 吹出口サイズをアップ、末端ダンパで調整、サイレンサ追加。“静かさ”は寸法から。
• ケースC:結露で天井汚れ
屋外に近いダクト区間で保温不足、ドレンも未整備。→ 断熱厚アップ、ドレン勾配1/100、トラップの封水確保。
10. 仕様書に書くと喜ばれること
• 期待運転点(風量・静圧・効率・騒音)と測定方法
• 点検・清掃の推奨周期(フィルタ、ベルト、グリス)
• 消耗品の型番と手配先、代替可能品の条件
• 試運転時の記録シート(CO₂、差圧、温湿度、電流値)。
11. スペア&ライフサイクル
• 予備フィルタを1年分、ベルトは最低1セット常備。
• 更新性:10〜15年先のリプレースを想定したスペース・電源・基礎。
• 遠隔監視:異常検知・省エネ分析・故障予兆。
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12. 吹出口・吸込口—体感を決める“顔”
• 天井吹出:コアンダ効果で遠達性。事務室で定番。
• 側壁吹出:意匠に合わせやすいが、ドラフトに注意。
• 床吹出:大空間・可変用途に強い。配線床と相性良し。
• 吸込グリル:清掃アクセスの良いものを選定。フィルタ内蔵型は点検サイクルを短めに。
13. 屋外フード・防虫・防雪・防雨
• フード形状:フードは見た目以上に性能差がある。逆風時の逆流、雨の侵入、雪の吸い込みを検証。
• 防虫網:細かすぎるメッシュは目詰まりで風量低下。清掃可能な構造と差圧監視を。
• 塩害:海沿いはSUSやコーティング、ケーブル端末の防水。
14. 耐風速・停電時のふるまい
• 台風時の逆回転・逆流対策(逆止弁、ダンパ閉止)
• 停電→復電でのソフトスタート、BAS側の初期化手順。
• 非常時運転(防煙・排煙)系と誤連動しないインタロック。
15. メンテナンス性のUX
• フィルタ差圧の見える化:現場に貼る“交換早見表”。
• 清掃時の落下粉じん対策:ブルーシート・養生テープ・集じん機。
• 工具レスで開閉できる留め具は時短の味方。⏱️
16. 価格だけでなく“リスク”で比較
同じスペックでも、納まり難易度・保守コスト・騒音余裕度・メーカーサポートで実質価値は変わる。見積比較では“安い順”ではなく“後悔しない順”で並べ替えよう。
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結語
機器は単品で語らず、系統で最適化する。その視点さえ持てば、換気設備はもっと静かに、賢く、長く働きます。次回はお待ちかね、ダクト工事現場のディテールに突入します!
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
前回は“なぜ換気が必要か”を俯瞰しました。今回は一歩踏み込み、設計の出発点「必要換気量」をどう決め、どんな風に“通り道(ダクト)”を整えるかを、実務寄りに解説します。現場で迷わないチェックリストも最後に付けました。🧭
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1. 必要換気量=「人+用途+発生源」で決める
必要換気量は、単に床面積で決めるのではなく、人の滞在(CO₂・体臭・呼気湿気)、用途(会議・調理・入浴・製造)、発生源(溶剤・粉じん・熱・臭気)を組み合わせて考えます。
• 人基準:一人あたりの外気量(例:20〜30m³/h/人など)を掛ける。ピーク人数に合わせるか、CO₂連動で可変にするかを検討。🧑🤝🧑
• 用途基準:更衣室・トイレ・喫煙室・厨房などは標準換気回数の目安を参照。臭気・湿気が強い場所は高めに。🚻🍜
• 発生源基準:局所排気フードで捕集できるなら、室全体の換気量は控えめでもOK。逆に発熱が大きい機器があるなら空調と連携して外気量を上げる。🔥
実務メモ:CO₂センサーを“呼吸域”に近い1.0〜1.2m高で、直吹き風の当たらない場所へ。誤検知を防ぎます。📏
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2. 換気回数の目安と計算の流れ
1) 室の用途から換気回数の目安を仮設定(例:事務室 2回/h、更衣室 6回/h、トイレ 10回/h)。
2) 室内容積(m³)×換気回数(回/h)=必要換気量(m³/h)。
3) 複数室の同時使用率を考えて“系統化”。ピーク同時を1.0とするか0.7程度でまとめるかは用途次第。📊
小さな例題
• 事務室(8m×6m×天井2.7m)→ 容積129.6m³。2回/hなら259m³/h。人数10人で人基準30m³/h/人なら300m³/h。大きい方を採用。✅
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3. ダクト設計:圧力損失と風速のバランス
ダクトの世界では圧力損失(Pa)が主役。ファンは静圧を使って空気を押し流します。損失が大きすぎると風量が出ません。逆に断面を過剰に大きくするとコスト・スペース・揺れが増えます。
• 推奨風速目安:幹線 6〜8m/s、枝 4〜6m/s、末端 2〜4m/s(騒音や結露、コストのバランスをみて微調整)。🏎️
• 損失要因:ダクト長・曲がり・分岐・ダンパ・フィルタ・サイレンサ。エルボは開先Rを大きく、分岐は45°やテーパで滑らかに。🛠️
• 均等圧法/静圧復帰法:分岐後の各支管が同じ静圧に“帰る”ように、ダクト寸法とダンパ設定を調整。職人技と計算の両輪です。🧮
実務メモ:VAV化を見込むなら最低風量時の風速もチェック。末端で1.5m/sを下回ると空気が“重く”なり、滞留やドラフト感のムラにつながります。
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4. 騒音(NC/NR)と振動の対策
音は“速い空気”と“乱れ”から生まれます。
– 末端近くでの急激な絞り込みを避ける。
– サイレンサはダクトサイズに合った長さを確保。短すぎると効かない。
– ファンとダクトの間にキャンバス、機器は防振ゴム/バネでアイソレーション。🔇
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5. 結露と保温—露点を恐れよ外気導入や冷房期のダクト壁温が露点を下回ると、結露→カビ→錆の負の連鎖。
– 冷える区間は保温(断熱)を。屋外や未空調スペースは特に厚めに。
– ドレンパンやドレン配管の勾配、封水を忘れずに。💧
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6. 施工の視点:吊り金物・点検口・意匠
• 吊り:ピッチ、揺れ止め、梁の芯を外さない。耐震ブレースは壁・梁に正しくアンカー。
• 点検口:フィルタ・ダンパ・センサ周りには必須。脚立の置き場所も含めて“作業動線”を設計。
• 意匠:見える化ダクトは継ぎ目とビスピッチの美しさが命。塗装前の脱脂も忘れず。🎨
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7. チェックリスト(保存版)
☐ 人数・用途・発生源を定義した
☐ 必要換気量と換気回数を計算した
☐ 系統図に同時使用率を反映した
☐ 風速・静圧・騒音のバランスを確認した
☐ 保温・結露・ドレン計画を入れた
☐ 点検口・メンテ動線を確保した
☐ 制御(常時/在室/CO₂)と試運転手順を決めた ✅
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8. 等価長さと“曲がりの罪”
エルボ1個で直管何メートル分?という概念が等価長さ。例えば矩形ダクトの90°エルボ(一般的なR)で直管5〜15m分の損失になることも。曲がりを1個減らす=ダクト10m短縮に匹敵するケースがあり、意匠・構造と早期に擦り合わせる価値大。🧩
9. 具体計算ミニ演習(手計算版)
• 目標風量:900m³/h(=0.25m³/s)
• 幹線:矩形400×200、風速3.1m/s → まずまず。
• ダクト長20m、エルボ4個(等価長さ40m相当)、フィルタ初期30Pa、サイレンサ20Pa、末端機器20Pa。
• 直管損失:0.6Pa/m×(20+40)=36Pa(仮)
• 合計静圧:36+30+20+20=106Pa → ファン曲線から運転点を探す。余裕を見て150Pa仕様で選定。🧪
実務メモ:“初期”と“最終(フィルタ目詰まり)”の両方で点を確認。最終時に風量が落ち過ぎないよう、ファンの余力やアラーム設定を。
10. よくある落とし穴
• 給気忘れ:排気だけ強くして負圧地獄。ドアが重い、隙間風、臭気逆流。→ 補給給気の導入、ルートの再設計。
• 点検できない:天井裏でフィルタが抜けない。→ 図面で作業姿勢まで確認。
• 結露トラップ:断熱をケチって天井シミ。→ 露点計算と保温厚の確認。
• 制御が難しすぎ:誰も触らない高機能。→ 運用者ヒアリングで“使いこなせる”設定に。🧑🔧
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11. 給排気バランスと圧力ゾーニング“どこを陰圧・陽圧にするか”は快適さと衛生を左右する設計の肝。
– トイレ・厨房・喫煙室:周囲より陰圧(排気>給気)。臭気や煙の拡散を防ぐ。
– 診察室・研究室・清掃済みエリア:周囲より陽圧(給気>排気)。外部の汚染空気を侵入させない。
– 共用部:中立に近く、ドア開閉時の気流を最小化。
差圧の目安は±2〜5Pa程度から。過度な差圧はドア開閉の支障・漏気増加につながるのでNG。⚖️
12. 試運転・調整(Cx)の基本
• 測定機器:アネモメータ、ピトー管+微差圧計、CO₂モニタ、温湿度計。
• 手順:系統ごとのダンパ全開→総風量確認→末端でバランス取り→制御連携(CO₂・在室)→騒音測定→記録。
• 引き渡し書:設定値(上限/下限)、フィルタ差圧のアラーム値、清掃交換の目安も明記。📋
13. 使う道具(現場の相棒)
脚立・ヘッドライト・マーカー・結束バンド・ブチルテープ・トルクレンチ・防振ゴム・レーザー距離計・吸音材・アルミテープ…。“測る、留める、塞ぐ、伝える”が基本動詞。🧳
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14. まとめのミニチートシート
• 人→外気量、用途→換気回数、発生源→局所排気
• 風速は幹線6〜8・枝4〜6・末端2〜4m/sを起点に調整
• 等価長さで曲がりの“罪”を見える化
• Cxで“図面通り”を“現実通り”に合わせ切る
• 圧力ゾーニングで臭気と清浄度をコントロール
ここまでできれば、換気設計の7合目。あとは経験値で“外しにくい形”に磨き上げましょう。⛰️
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まとめ
換気設計は数字×感覚×現場性の総合格闘技。数字だけでも、経験だけでも片手落ちです。計算で“外しにくい骨格”を作り、現場で“流れる形”に仕上げる。次回は、機器選定編として「ファン・全熱交換器・ダンパ・サイレンサ・センサー」を、選定のコツからメンテの勘所まで一気に解説します。お楽しみに!🚀
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
こんにちは!「換気設備工事」連載の第1回へようこそ。まず最初は「そもそも換気って何?」「なぜ手間とコストをかけてまで換気設備を整えるの?」という根本の話から始めます。結論から言うと、換気は“目に見えないリスクを外へ逃がし、必要な空気を中へ招き入れる仕組みづくり”。快適さ、健康、安全、そして建物の長寿命化に直結する超・重要テーマです。
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換気=「汚れた空気を出し、きれいな空気を入れる」こと
換気の役割はシンプルです。屋内で発生する二酸化炭素(CO₂)、湿気、臭気、化学物質、微粒子を屋外へ排出し、外気を取り込みます。人がいるだけでCO₂は増え、調理やシャワーで水蒸気が増え、清掃や製造工程では化学物質が舞います。これらがたまると、頭がぼんやりする、カビが生える、壁内が結露する、機器の寿命が縮む…といった問題に直結します。
よくある誤解
• 「窓を時々開ければ十分」→ 風が弱い日や冬場は期待通りに動かず、居室によっては空気が滞ります。計画的な換気は“いつでも・どこでも”必要量を確保します。️
• 「空調があるから換気は不要」→ エアコンは主に“熱”を扱う機器。空気の入れ替え(新鮮空気の導入)は別の仕事です。❄️
• 「強いファンを付ければ解決」→ 風量だけでなく、空気の“通り道”の設計が要。吸う場所と入れる場所のバランスが崩れると、隣室から臭いが逆流することも。
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機械換気の方式:第1種・第2種・第3種
日本の建築でよく使われるのは以下の3方式です。用途やコスト、気密性に応じて選びます。
• 第1種(給気・排気を機械で): 室内圧をコントロールしやすく、熱交換器と組み合わせれば省エネ・快適性が高い。病院、オフィス、高気密住宅などに。
• 第2種(給気は機械、排気は自然): 室内をやや陽圧に保ちやすく、外部粉じんの侵入抑制に有効。クリーン度が必要なエリアの前室などで。
• 第3種(給気は自然、排気は機械): 住宅や小規模店舗で一般的。コストが抑えやすいが、外部条件の影響を受けやすいので計画と運用が肝。
方式選定は“用途・気密・コスト・省エネ・メンテナンス”の総合点で決めましょう。
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「必要換気量」と「換気回数」をざっくり理解する
設計でまず決めるのは“どれだけ入れ替えるか”です。指標は2つ。
1) 必要換気量(m³/h): 人数や発生汚染物に応じた必要風量。人が多い空間や作業でVOCが出る場所は多めに。
2) 換気回数(回/h): 室内容積に対して1時間に何回入れ替えるか。例えば体臭や湿気がこもりやすい更衣室や浴室周りは高めに設定。
例:容積120m³の会議室で2回/hなら、240m³/hの換気が目安。人数やCO₂センサーと組み合わせて“可変”にするのが今風です。
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空気の「通り道」をデザインする
換気は“吸う・吐く”の2点だけでは機能しません。空気は最短距離ではなく、抵抗の少ない道を選ぶのが性質。だからこそ、以下を押さえます。
• 給気口と排気口の位置関係: 同じ壁面で近すぎるとショートサーキット(空気が室内を通らず直行)に。対角線配置や高さ差で室内を横断させる。
• 風の邪魔者: 収納や間仕切り、背の高い家具。家具配置の提案までできるのが“良い設備屋”。
• ドアのアンダーカット/ガラリ: 部屋間のバイパスを確保。逆に臭気を閉じ込めたいトイレは個室内で完結する排気計画に。
• 負圧/陽圧の使い分け: 臭気源のあるトイレや厨房はやや負圧、清浄度を保ちたい診察室やクリーンエリアは陽圧。⚖️
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省エネの視点:熱回収と可変風量
外気をそのまま入れると冷暖房負荷が増えます。全熱交換器を使えば、排気の熱と湿気を回収して外気を事前調整。さらにデマンド制御換気(CO₂/VOC連動)やVAV(可変風量)で、必要なときだけ賢く動かせます。結果、光熱費も快適性も両取りに。✨
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メンテナンスまで含めて「設計」
換気設備は“付けて終わり”ではありません。フィルタ清掃、ファンのベルト点検、ダクトのグリス堆積、ドレン詰まり…。点検口をどこに設けるか、フィルタをユーザーが触れる高さか、脚立なしで作業できるか。将来の人件費まで含めた設計が、総コストを最小化します。
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失敗事例から学ぶ(現場あるある)
• 新築住宅で24時間換気を止めたら結露でクローゼットにカビ…→ 冬でも止めない、もしくは弱運転に。️
• 厨房の排気だけ強くして店内が強負圧、ドアが開かない&トイレ臭が客席へ逆流…→ 補給給気をセットで。
• 事務所のCO₂が常に1500ppm超えで眠い…→ 会議・昼休みの人数ピークに合わせて制御、センサーの設置位置も見直し。
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室内空気質(IAQ)の指標をつかもう
実務では“体感”と“数値”を両輪で見ます。代表的な指標はCO₂、温度、相対湿度、PM2.5、TVOC(総揮発性有機化合物)など。CO₂は1000ppmを一つの目安(会議中は上がりがち)として、800ppm前後を保てると眠気やだるさが大きく軽減されます。湿度は40〜60%が快適帯。冬は加湿、梅雨は除湿と、換気・空調・加湿器のチームプレーが重要です。️
シックハウスと法規の背景(ざっくり)
日本では過去の住宅の気密化・材料の変化を背景に、「化学物質による健康被害」への関心が高まりました。その結果、居室に計画換気を備えることが一般化し、24時間換気の運用が推奨されるようになりました。法や基準の細部は用途・時期で異なるため、実際の案件では必ず最新の要件と仕様書を確認しましょう。
住宅・店舗・工場で何が違う?
• 住宅:音と省エネ、メンテの容易さが最重要。第3種が多いが、高気密住宅では第1種+熱交換の快適性が魅力。️
• 店舗/オフィス:人の出入りが多く負荷変動が大きい。CO₂連動でメリハリ運転、厨房や喫煙室など臭気源との圧力ゾーニングがカギ。
• 工場/作業場:局所排気で“発生源対策”が基本。粉じん・溶剤・熱の性状を押さえ、法令に適合させる。
ちょこっとQ&A
Q. 24時間換気は電気代が心配…
A. 近年のECファンは省エネ。弱運転で数十W台も珍しくありません。熱交換と合わせれば冷暖房費の悪化も抑えられます。⚡
Q. 花粉が多い日は換気したくない
A. 外気側に中性能フィルタを入れれば侵入を大幅に低減。差圧上昇に合わせた交換計画が必要です。
Q. ニオイが消えない
A. 通り道の見直し(ショートサーキット解消)、圧力差の再設定、ダクト汚れの清掃、活性炭の導入などが効果的。
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小さな行動が大きな差に
運用でできる工夫はたくさんあります。フィルタ掃除のリマインド、CO₂モニタの設置、ドアのアンダーカットの確保、家具の背面クリアランスの確保…。“空気の流れを想像する癖”をつけるだけで、体感がガラリと変わります。
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次回は数式も怖くない「必要換気量&ダクト設計のキホン」。現場で即役立つ“考え順序”を一緒に身につけましょう!✍️
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
さて今回は
~ニオイ・結露・暑さを“原因から”断つ~
設備は入れて終わりではありません。フィルタの目詰まり、ダンパのズレ、外気条件の季節変動——これらは少しずつ快適性と省エネをむしばみます。今日は“直すべき順番”と“効くメンテナンス”を、現場感覚で解説します。
ニオイが取れない :排気不足より給気位置ミスのことが多い。→客席側に逆流していないか煙テストで確認。
結露・カビ :外気導入の断熱不良・風量不足・風速過多(滞留/短絡)のいずれか。→ダクト断熱と露点の見直し。
暑い・寒いムラ ️:吹出し口の到達距離不足やレイアウト変更による短絡。→吹出し形状変更や風向可変で改善。
外気取入口の清掃・離隔確認(虫・落葉・油煙)
フィルタ点検(圧力損失で交換判断、目視だけはNG)
ファン・ベルト・防振(回転数・振動・軸受温度)
ダンパ初期値復帰(工事後の“仮設定”を正規化)
末端風量バランス(TABで帳尻合わせではなく“配管抵抗”を整える)
この順番を守ると、無駄な部材交換を防ぎ、効果測定が明確になります。
春(冷房前):外気量・除湿計画の見直し、ドレン詰まりチェック。
夏(高負荷):連続運転での異音・振動監視、夜間の温湿度ログ取得。
秋(切替期):ダンパ開度の季節リセット、消音器の汚れ確認。
冬(加湿期):結露対策の断熱補修、外気取入口の凍結・着雪対策。
インバータ最適化:ピーク時間帯だけ上げ、アイドルは絞る。**電力▲10〜30%**が現場実感。
CO₂連動換気:人の多い時だけ自動増風。会議室・学習塾・美容室で満足度アップ。
熱交換換気(顕熱/全熱):外気導入量を落とさず空調負荷を低減。
ダクト改修のミニマム化:全更新ではなく、曲がりR拡大・不要分岐撤去・フレキ短縮で圧損改善→静音化も同時達成。
センサー3点セット:CO₂・温度・湿度。月次でしきい値と乖離をレビュー。
ダッシュボード:担当者がスマホで風量・差圧・アラートを確認。異常の早期発見でダウンタイム短縮。
メンテ記録:交換日と“理由”を残す。**“なぜ変えたか”**が次回の判断基準。
ベーカリー:焼成時の熱と臭気が客席へ。→補給給気を床面近くへ移設、排気フードを縁流型に変更。臭気苦情0・電力▲12%。
オフィス:午後に眠気・だるさ。→CO₂連動に更新、会議室ブースト機能追加。平均CO₂▲400ppm・生産性改善の声。
場当たり的な交換より、上流からの点検→バランス→制御で手堅く改善。私たちは点検・洗浄・TAB・制御最適化までワンストップで支援します。におい・結露・暑さのお困りごと、まずはお気軽にご相談ください♻️
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
さて今回は
~“ちょうど良い風”~
「ニオイがこもる」「暑い・寒いムラがある」「作業効率が上がらない」——現場の悩みの多くは“空気の流れ”で解決できます。換気設備・ダクトは、見えないインフラ。だからこそ、設計の入り口で外さないことが最短のコスト最適化につながります。ここでは用途別の考え方から、失敗しない設計・施工の要点までをまとめます。
飲食店 🍜:客席はドラフト感(風当たり)を抑えつつ、厨房の排気主導。排気>給気の軽い負圧で臭気拡散を防止。レンジフードやフード形状、補給給気の位置がキモ。
工場・作業場 🏭:発熱源・粉塵源を「局所排気」で囲い込み、作業者側へ逆流させない。ライン変更が多い現場はダクトの分岐余裕と点検口を計画。
オフィス 🏢:CO₂・湿度を監視し、**換気量の可変化(VAV)**を検討。会議室は短時間高負荷に対応できるブースト運転を前提にゾーニング。
医療・研究 🧪:清浄度や圧力差管理が命。陽圧・陰圧の切り替え要件は早期合意。フィルタメンテナンス性と差圧計の見える化が安全性を左右。
発生源主導:ニオイ・熱・湿気・粉塵は“出た瞬間”に捕まえる。全体換気の前に局所排気を設ける。
給排のバランス:排気だけ増やすと隙間風・扉の開閉不良が発生。補給給気の量・経路・温湿度を同時設計。
風速と騒音の両立:ダクト内風速を上げれば細く安いが圧損・騒音が増える。騒音基準を先に決めて配管径を確定。
点検性の先出し:フィルタ・消音器・ダンパは**“触れる位置”**に。天井点検口サイズ、脚立高さ、工具の入りしろまで図面で明記。
将来余裕:テナント入替・ライン変更に備え、干渉しないルートと20〜30%の風量余裕(制御で普段は絞る)。
NG:長いフレキダクトの多用 → 回避:可能な限り板ダクト+**緩やかな曲がり(大曲率)**で圧損を低減。
NG:ダンパ開度が“現場合わせ”のまま → 回避:**TAB(試運転・風量測定・バランス調整)**を計画に組み込み、記録を残す。
NG:排気フード直上に梁・照明 → 回避:捕集効率が落ちるので設計段階で干渉チェック。
NG:外気取入口が排気口の近接 → 回避:風向、建物の負圧帯を計算。クロスコンタミを避ける離隔・高さを確保。
可変風量制御(VAV):人の多い時間帯だけ自動で増風。省エネ&快適性UP。
DCファン+インバータ:微妙な風量調整が可能。騒音も低減。
CO₂・湿度見える化 📊:タブレット表示で“空気の不満”を可視化→苦情・体感ギャップが減る。
消音器・防振:夜間店舗やオフィスフロア下階への音配慮でクレーム予防。
焼肉店改装:排気主導→客席無風化、補給給気を床下スリットへ。臭気クレーム0・ガス使用量▲8%。
樹脂成形工場:局所排気+上部循環で上昇気流を制御。作業エリアWBGT▲1.5℃・夏場残業削減。
ダクトは見えないからこそ、計測・制御・点検性を最初に仕込むのがコツ。私たちは用途に合わせた“ちょうど良い風”を設計し、施工からTAB、運用改善まで伴走します。お気軽にご相談ください😊
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
さて今回は
~経済的役割~
ということで、換気工事がどのように日本の経済活動に貢献しているかを多角的に考察します。
「換気」は、健康や快適性に欠かせない生活要素でありながら、かつては建築設備の中でも“影の存在”でした。しかし、感染症対策・省エネ・環境対応などが重視される現代では、換気設備工事が果たす経済的役割が再評価されています。
換気設備工事は、空調・電気・給排水と並ぶ建築設備工事の中核分野です。
住宅・商業施設・工場・学校・病院などあらゆる建物で不可欠な要素
新築・改修市場における設備費の中で一定のシェアを占有
BIM対応などによる技術高度化が専門人材の価値を引き上げ
建築投資が活発なエリアでは、換気設備も確実に発注され、施工関連企業の業績安定化に寄与します。
換気設備の設計・施工・メンテナンスには専門性が求められるため、人材雇用と技能継承の現場でもあります。
設備設計士・ダクト工・メンテナンス技術者などの職種を支える
技能実習制度・職業訓練校と連動した技能者の育成
地域密着の施工業者を中心に安定雇用が見込まれる業種
特に中小企業の基幹産業として、地域経済における持続的な雇用を支えています。
換気設備工事が扱う製品や部材は、多くの関連産業とつながっています。
ファン、モーター、ダクト、フィルターなどの製造業界
物流・保管・組立加工業者の稼働率向上
高機能製品(熱交換型・省電力型など)の開発が技術革新を牽引
これにより、設備工事一件ごとに多くの経済プレイヤーが関与し、裾野の広い産業構造が形成されています。
換気は「空気の質」に直結し、健康や衛生、安全を支えるインフラでもあります。
医療施設や福祉施設の空気環境整備
感染症対策のための高性能換気装置の需要増
学校や保育所におけるCO₂濃度管理の義務化と設備投資
これらの取り組みは国の補助金制度や予算事業ともリンクしており、公的資金の投資先としても注目されています。
換気設備は、省エネ化・脱炭素化への転換点としても重要です。
熱交換換気ユニットの普及で空調エネルギーのロスを抑制
ZEH(ゼロエネルギーハウス)、ZEB(ゼロエネルギービル)への必須要素
国際基準やカーボンクレジット市場との連動も今後期待される分野
環境技術投資の対象として、気候変動対策と経済活動を両立させるインフラといえるでしょう。
換気設備工事は、私たちが気づかないところで、快適さ・健康・生産性・省エネといった価値を提供し続けています。その裏には、広範な産業とのつながり、人材の流動性、設備投資の循環があり、日本経済の現場力を支える“静かなエンジン”とも言える存在です。これからの換気工事は、ただの「空気の入れ替え」ではなく、「未来の経済空間」を設計する仕事へと進化していくでしょう。
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
さて今回は
~多様化~
ということで、換気設備工事における多様化について、技術、設計、施工、社会的背景の視点から詳しく解説します。
私たちが日々暮らす空間の“空気の質”を支える換気設備。その重要性は、COVID-19をきっかけに社会的にも広く認識されるようになりました。現在では住宅から商業施設、医療・産業施設に至るまで、さまざまなニーズに応じた換気設備工事が求められています。
従来、換気設備は“臭いや湿気の排出”が主な目的とされてきましたが、現在では以下のように機能が多層化しています。
ウイルス・菌・微粒子の除去
二酸化炭素濃度の管理による集中力・作業効率の維持
住宅や建物の長寿命化(結露・カビ対策)
高齢者や子どもの健康維持のための空気環境管理
こうした新たな目的の登場により、換気工事の内容も大きく変化しています。
住宅用換気:第1種(機械給排気)、第2種、第3種と選択肢が広がる。高気密住宅では全熱交換器の導入が主流に。
オフィス・店舗:省エネと快適性のバランス、天井埋込型や個別制御型も普及。
医療・福祉施設:陰圧室、HEPAフィルター、ゾーン分け対応など、感染症対策としての高度換気設計。
工場・研究施設:排気・給気の同時管理、有害物質の局所排気設備が必須。
用途ごとに求められる性能や法規制も異なるため、柔軟で高度な施工設計が求められます。
CO₂センサー連動換気システム:室内人数に応じて自動制御。
熱交換型換気システム:冬季の熱損失を抑え、省エネと快適性を両立。
ダクトレス換気ユニットの普及:小規模空間やリフォーム向けに施工の柔軟性が高い。
BIM(建築情報モデリング)対応設計:空調・配管・構造との干渉確認を効率化。
これらの技術は、換気を“目に見えない設備”から“制御可能な資産”へと進化させています。
現代の換気設備工事では、以下の点も重視されています。
外観や内装と調和するデザイン性(グリルの意匠・配置)
点検口の配置やメンテナンスのしやすさの考慮
狭小住宅やリノベーション建築への省スペース設計
換気の「機能美」が求められる時代へと移行しています。
災害時の非常用換気ルート確保(停電時換気、手動操作系統)
PM2.5や黄砂、花粉対応フィルターの標準化
再生可能エネルギーとの連動(太陽光+換気ファン制御)
社会的課題や環境意識の高まりにより、換気工事の設計思想自体も変わりつつあります。
かつては「目立たない設備」とされてきた換気設備。しかし現代では、健康・省エネ・防災・快適性すべてに関わる重要なインフラとして、その設計と施工はますます多様化・高度化しています。私たちの暮らしを“見えない空気”の面から支える換気設備工事は、今後も建築や都市環境の未来と共に進化し続けることでしょう。
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
~スマート設備とカーボンニュートラル社会に向けて~
建築業界全体で、カーボンニュートラル・省人化・スマート建築といった未来へのキーワードが飛び交うなか、ダクト工事の在り方にも変化の兆しが現れています。
「空気を送るだけ」の時代は終わり、これからは**“環境を制御するダクト”**へと進化していくのです。
一般的な市場での例を基に解説していきます。
今後の建築現場では、設計段階から**BIM(Building Information Modeling)**によって建物全体が3Dでモデリングされ、施工も連動していくことが主流になります。
その中でダクト工事も:
工場でのプレファブ化(ユニット組立済み)
現場での吊り込みのみで完了
施工手間・廃材・人員コストを大幅削減
といった省力化と環境対策を両立する方法が広がりつつあります。
IoT時代の今、ダクトも「空気の通り道」から「空気環境を制御する装置」へと変わってきています。
二酸化炭素濃度センサーと連動した風量制御
温湿度に応じた風向の自動切り替え
HEPAフィルターやUV照射による殺菌機能付きダクト
リモート管理できるダンパーと制御装置
これにより、病院・オフィス・学校などで感染症対策や快適性向上に貢献する“スマートダクト”のニーズが高まっています。
地球温暖化対策の一環として、ダクト材も軽量・高断熱・低CO₂素材への切り替えが進行中です。
アルミ複合材や発泡材での軽量ダクト
内面加工で風の抵抗を減らし、省エネ運転を実現
リサイクル鋼板を使ったエコロジーダクト
将来的には、建築全体の**LCA(ライフサイクルアセスメント)**評価において、ダクト材選びがCO₂評価に直結する時代が来るかもしれません。
建設業界全体の課題である人材不足。ダクト工事も例外ではなく、若手職人の確保が難しい状況が続いています。
そこで注目されているのが:
ダクト自動加工機による工場製造の自動化
吊り込み用アシスト機器(天井昇降台など)
AR・MRによる現場ナビゲーション
“道具が職人を支える”時代から、“テクノロジーが職人を育てる”時代へと、現場の進化が始まっています。
これからのダクト工事は、単なる「配管」ではありません。
空気の質をコントロールし
快適な空間をデザインし
地球環境と調和する建物づくりに貢献する
そんな未来型のダクト工事が、健康・安全・持続可能な暮らしの礎となっていきます。
私たちが日々呼吸するその空気の背景に、未来を見据えたダクト工事がある。
そう信じて、今日も私たちは天井裏の“見えない現場”で、着実に進化を続けています。
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
~空気と共に、人と建物を支える静かな仕事~
ダクト工事は、空調・換気・排煙といった空気の流れをつくるために、建物の内部に風の通り道(ダクト)を設置する工事です。
見えない場所に施工されることが多いため目立ちませんが、建物内の空気環境や衛生状態を保つために不可欠なインフラです。
しかしその裏側には、**施工現場の作業環境や、使用資材による環境負荷、メンテナンス性といった多面的な“環境課題”**が存在しています。
ダクト工事の現場は、主に天井裏・地下・機械室・屋根上といった閉鎖空間や高所作業が多いのが特徴です。
天井裏の高温多湿(特に夏場は熱中症リスク)
脚立・足場上での作業による転倒・落下の危険
他業種との同時施工による作業スペースの圧迫
重量物(スパイラル管、角ダクトなど)の搬入と持ち上げ
これらを防ぐために、現場では空調服の着用、熱中症アラートの導入、昇降設備の工夫、安全教育の徹底などの対策が進められています。
ダクト材には主に亜鉛メッキ鋼板(ガルバリウムやスパイラル管など)が使われますが、その加工・運搬には電力や資材コストがかかります。
また、施工中に発生する環境負荷として以下のようなものが挙げられます:
鋼材の切断時の粉じん・騒音
アングルや吊り材の取り付け時の廃材・端材
運搬時のCO₂排出
グラスウール等の断熱材による飛散(保護具が必須)
近年では、軽量化されたプレハブダクトや高反射塗装タイプの製品、さらには環境認証(LEED等)に対応した資材が登場し、環境負荷低減への意識が高まりつつあります。
ダクトの“断熱性”や“気密性”は、空調効率に大きな影響を及ぼします。
隙間だらけのダクトでは、せっかく冷やした/温めた空気が逃げてしまい、無駄なエネルギー消費を招くことになります。
気密性の高いフランジ接続
断熱材の確実な施工
最短経路・曲がり最小の配管設計
風速・風量のバランス調整
これらを意識することで、エネルギー効率が改善され、CO₂削減にも貢献できるのです。
設置後のダクトは、放っておくとホコリ・カビ・有害菌の温床になります。
特に厨房排気や工場の排気系統では、油や粉じんが蓄積され、火災や健康被害のリスクも高まります。
これに対応するために:
定期的な内部清掃
点検口の適切な設置
メンテナンスしやすい配管レイアウト
施工時から維持管理を見越した設計
など、長期的視点での“環境衛生管理”を意識した工事が求められています。
ダクト工事は、「空気のインフラ工事」と言っても過言ではありません。
私たちが知らないうちに呼吸している空気、その質と流れを裏側で支えているのが、ダクト技術なのです。
だからこそ、施工現場の環境、資材の環境負荷、空調効率、メンテナンス性のすべてが「環境への責任」と直結しています。
次回は、そんなダクト工事がどのように“未来”へと進化していくのか、その可能性を掘り下げてみましょう。
次回もお楽しみに!
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