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月別アーカイブ: 2025年12月

第24回ダクト工事雑学講座~病院・福祉施設の換気—陰圧/陽圧と清潔ゾーニングの極意 🏥🧼~

皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

病院や高齢者施設は、感染リスクと患者・入居者の快適性を同時に満たす必要があります。そこでカギになるのが、陰圧/陽圧の使い分けと清潔ゾーニング。今回は、隔離室や手術室、病棟・療養エリア、厨房・リネン室など用途別に“空気の動線”を設計するコツを、現場運用まで踏み込んで解説します。😷🌀

 

1. 圧力カスケード—空気を「清→汚」へ一方通行に
• 陽圧(+):外から汚染空気を入れない。手術室、無菌調製室、清潔倉庫など。
• 陰圧(−):室内の汚染を外へ漏らさない。隔離室、感染症外来、検体処理室など。
• 中立(0):廊下や共用部は中立に近く、空気の通り道として機能させる。
カスケード設計の基本:陽圧エリア → 中立 → 陰圧エリアの順で並べ、前室(アンテ室)で差圧を段階制御。差圧目安は±5〜15Pa、ドア開閉時にも崩れない制御応答が要。📊

 

2. 隔離室(AIIR/陰圧室)の設計と運用
• 前室付きが原則。前室は病室よりさらに負圧弱めで、外廊下よりも低圧に保つ。
• 換気回数:高め(例:6〜12回/hを目安)。CO₂だけでなく粒子カウンタで清浄度を点検。
• 排気:屋外高所に直接排気、再吸込み回避。ダクトは漏風の少ない等級+点検口を多めに。
• フィルタ:病室側は清浄給気、排気側にHEPAを設置する場合は差圧監視と交換手順を標準化。🧪
• ドア運用:二重扉の同時開放防止(電気錠インタロック)。スライドドアは隙間が少なく有利。

 

3. 手術室・クリーンエリア(陽圧)
• 吹出方式:層流(ユニディレクショナル)や乱流希釈など。術野周囲に均一な清浄空気を供給。
• 温湿度:術者の快適と感染管理のバランス。温度20〜24℃・RH40〜60%を基準にシナリオ運転。
• 差圧:隣接準備室より+5〜10Pa程度。扉開時の圧力落ちを素早い給気制御で補正。⚖️
• 騒音/気流感:術者の集中を阻害しない0.2〜0.3m/sのやわらかな流れ。サイレンサと大判吹出口で静かに。

 

4. 病棟・療養エリア—静けさとケア導線
• 夜間静音:ファン回転数と吹出口サイズで就寝時NC-30前後を目標。🛏️
• CO₂/TVOC:デマンド制御換気(DCV)で在室数に追随。深夜は弱、処置・来客時は自動で増風。
• ニオイ分離:トイレ・汚物室は陰圧で個室内完結。廊下へ臭気が漏れないガラリ/ドア下調整。👃

 

5. リネン・滅菌・廃棄—バックヤードも空気動線
• リネン室:清潔/不潔の分離。不潔側は陰圧、清潔側は陽圧で一方通行の流れを維持。
• 滅菌器まわり:排熱と蒸気を個別排気、補給給気で過負圧を防止。ドレン処理と防露を徹底。💧
• 医療廃棄:保管庫は換気強め+陰圧、搬出動線の時間帯運用もルール化。

 

6. フィルタリング戦略と差圧監視
• 給気:中高性能+HEPAで段階捕集。前置フィルタでHEPA寿命を延ばす。
• 差圧計:前室・病室・廊下の各差圧を常時表示。アラーム閾値(例:±3Pa)で巡回点検のトリガに。⏱️

 

7. 清掃・保守—“止めない・詰まらせない”
• HEPA交換:手順を二人作業で標準化。清掃ゾーニングに合わせた道具色分けを徹底。
• ダクト洗浄:菌・カビ増殖を避け、結露区間は防露+定期点検。排気側は特に注意。🧽

 

8. ケーススタディ(運用が決め手)
• 前室の差圧が安定しない→ ドア開放時間が長い。自動クローザとスタッフ動線教育で是正。
• 病室の体感が寒い→ 吹出直撃。大判吹出口に替え、天井拡散でドラフトを回避。

 

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まとめ
病院・福祉施設の換気は、圧力カスケードと可視化(差圧・粒子)が命。設備と運用をワンチームで設計し、“清→汚”の一方通行を徹底することで、感染対策と快適性を同時に実現します。次回は学校・オフィス。CO₂センサーとデマンド制御で“眠くならない空間”を作ります。🏫💼

 

 

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第23回ダクト工事雑学講座~工場・作業場の局所排気—フードで捕まえ、作業者を守る 🏭😷~

皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。

 

溶剤・粉じん・ヒューム・熱…工場や研究室では、発生源で捕集する局所排気が空気衛生の基本です。室全体換気だけでは希釈に時間がかかり、作業者の呼吸域に残留してしまう。今回は、フードの種類と配置、必要風量の求め方、ダクト設計・騒音・省エネまで“現場が回る”実務の要点をまとめます。🧪

 

1. フードのタイプと使い分け
• 囲い式フード(Enclosing Hood):最強。密閉に近いほど必要風量が小さく、捕集率が高い。薬品槽の上蓋やグローブボックス等。
• 外付け式フード(Exterior Hood):囲いが難しい大物・移動体に。捕集距離と捕集速度が鍵。
• スロットフード:長手方向のスリットで均一吸引。作業台・ベルトコンベヤ沿いに有効。
• 可動フード/局所アーム:作業点に寄せられるのが強み。誤って作業者の顔から吸う配置にしない。🤖

 

2. 捕集速度(Capture Velocity)の考え方
対象物に応じた捕集速度(m/s)の目安を決め、吸込口からの距離で必要風量を逆算します。
– 軽い蒸気/臭気:0.25〜0.5
– 粉じん・ヒューム:0.5〜1.0
– 活発な発生(スパッタ等):1.0〜2.5
簡易式(外付け丸口)例:V = Q / (10x² + A) のような“距離減衰”モデルを使い、作業点距離xでQ(m³/min)を見積もる。※現場では安全側に余裕を持つ。🧮

 

3. 風量算定の実務ステップ
1) 発生源の性状(蒸気?粉?温度?毒性?)を整理
2) 捕集速度の目標を決定
3) 作業点距離と吸込開口の形状・面積を決める
4) 必要風量Qを算定
5) ダクト径を決め、圧力損失(直管+継手+フィルタ+サイレンサ)を計算
6) ファン選定と騒音・振動の対策を併せて検討
7) 排気処理(濃度・温湿度・臭い)を周辺環境に適合させる🌱

 

4. ダクト設計と“粉じん・凝縮”の罠
• 自重堆積を防ぐため、粉体ラインは縦配管&掃除口を多めに。
• 蒸気・溶剤は凝縮→ドレンが溜まる。勾配1/100とトラップで戻り・臭気を防止。
• 材質:腐食性ガスは耐食ライニング、静電気リスクは導電材・接地。⚡

 

5. 騒音・振動対策(作業環境の快適さ)
• サイレンサ+低騒音ファンでNC-60以下を目標(周囲条件次第)。
• 吸込口での急激な絞りを避け、吸込直管長を確保。
• 防振ゴム/バネ+キャンバスで機器をアイソレーション。🔇

 

6. 省エネ・自動制御
• デマンド制御:在席・運転信号と連動し、使う時だけ吸う。
• VAV:複数フードの同時使用率を考慮し、差圧一定制御で安定化。
• 熱回収:外気負荷が大きい場合は顕熱回収+バイパスで冬季の過乾燥も抑制。📉

 

7. 法令・測定・記録(守りを固める)
• 測定:面風速、ダクト風速、微差圧、騒音。引渡し時と定期で記録。
• 標識・教育:フードの適正位置、交換部材の型式、緊急時の停止手順を現場に掲示。
• 保守:フィルタ交換、堆積粉の除去、ベルトテンション。月次点検で“効かなくなる前”に手を打つ。🛡️

 

8. ケーススタディ(失敗から学ぶ)
• ケースA:吸いが弱い→ スロットが均一でない。内部整流板を追加、吸込直管を確保。
• ケースB:周囲へ拡散→ 捕集距離が長い。アームを近づけるor囲い化。
• ケースC:臭い戻り→ 排気が屋上で渦に巻き込まれ再侵入。排気筒高さと風向を再設計。🌪️

 

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まとめ
局所排気は“近くで少なく”が正義。フードを作業に寄せ、捕集速度を確保し、ダクトは詰まらせず、ファンは静かに賢く回す。これが作業者を守り、生産性も守る最短ルートです。次回は“病院・福祉施設の換気”。陰圧/陽圧と清潔ゾーニングの設計術を、わかりやすく解説します。🏥🧼

 

 

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