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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
「換気を増やすと空調費が上がる」——その常識を覆すのが熱回収換気(ERV/HRV)です。本章では、方式の選び方、設計の落とし穴、季節運用(霜取り・バイパス・外気冷房)、費用対効果の見方を、現場で役立つ“数字の勘所”で解説します。📐
1. 用語サクッと整理
• 顕熱回収(HRV):温度(熱)のみ回収。湿気は移らない。
• 全熱回収(ERV):温度+湿気を回収。冬の乾燥、夏の蒸し暑さに効く。
• 回転式(ロータリー) vs 固定式(プレート):効率・漏れ・圧損・メンテ性のバランスで選定。🔁
2. 効率だけ見ない—“運用点”で考える
• 効率ηはカタログ値。実際は風量偏流・漏れ・霜取りで下がる。
• 圧損が増えるとファン電力↑。回収熱量 − 送風電力の正味メリットで評価。
• バイパス:外気が涼しい時は100%バイパスで“外気冷房”。夏夜間・春秋に大きな効果。🌙
3. 冬の霜取り・結露—水の行方を支配する
• 霜取り:寒冷地は交換素子が結露→凍結。予熱コイルや断続バイパスで防ぐ。
• ドレン:1/100勾配+封水。ヘアキャッチで詰まり防止。
• 防露:未空調空間のダクト・筐体は厚め断熱。露点を下回らせない。💧
4. 夏の湿気—ERVの独壇場
• 外気が高温多湿の地域では、全熱回収で潜熱負荷を大幅に削減。室内湿度の上昇を抑え、カビ・だるさ対策に直結。
• デシカントや再熱との組み合わせで、温度は上げ・湿度は下げる“省エネ快適”を実現。☀️
5. 漏れとクロスコンタミ—衛生設計
• ロータリーはパージセクションで漏れ低減。差圧設計で逆流を防止。
• プレートは漏れが少ないが圧損高め。フィルタ前置きで素子汚れを抑える。🧼
6. 制御シナリオ—“賢い切替”が節電の勘所
• CO₂/VOC連動で外気量を可変。
• 外気エンタルピ比較で回収/バイパス/エコノマイザを自動選択。
• 夜間フラッシュ(外気が冷涼時に建物を冷やす)で翌日のピーク負荷を削減。🧠
7. 設置・納まり—点検できる位置に置く
• 素子抜き出しスペース、フィルタ交換のクリアランス。脚立・カートの動線も図面化。
• 搬入経路:エレベーター寸法、曲がり。屋上設置は防水立上りと耐風に注意。
• 騒音:サイレンサ+低速大面積吹出で居室のNCを守る。🔇
8. 費用対効果—“コイン一枚の重さ”を測る
• 一次試算:回収熱量(kWh)×単価 − 送風電力。
• 投資回収:電気・ガス単価、使用時間、運用の自動化度で変動。可視化ダッシュボードで“見える節電”を継続。💴
9. よくある落とし穴
• 素子汚れで効率低下→ フィルタ差圧管理と定期洗浄。
• 結露水の逆流→ ドレン封水不足。Uトラップ高さ・位置の見直し。
• バイパスの開かず→ ダンパ固着。定期試運転で可動確認。
• “付けただけ”で制御しない→ CO₂・外気条件連動を後付けでも入れる。🛠️
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まとめ
熱回収換気は“付けて終わり”ではなく、回収/バイパス/外気直結を切り替える頭脳の設計が肝。水(結露・ドレン)と音の始末を怠らず、見える化で運用を回せば、快適と省エネの両立は十分可能です。次回は騒音・振動対策。NC/NRの勘所と、静かに通す配慮を徹底解説します。🔇🧩
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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
学校やオフィスは、在室人数の変動が大きい代表例。会議の開始直後や休み時間明けなど、一気にCO₂が上がって集中力低下や眠気を招きます。本章では、CO₂センサー×デマンド制御換気(DCV)を軸に、会議室・教室・オープンオフィスの設計・改修・運用のコツをまとめます。
1. まずは“見える化”から:CO₂ダッシュボード
• センサー設置:呼吸域1.0〜1.2m、直吹きや窓際を避ける。代表地点と最悪地点の2点設置が理想。
• 目標値:800ppm前後を平常運転の目安、1000ppmをアラーム。色でわかるサイネージは行動を変える。
• 換気シーン:授業開始、会議、昼休み後、終業掃除など“山”を特定し、スケジュール運転+DCVで先回り制御。
2. 会議室—短時間に濃くなる空間の攻略
• 初動ブースト:入室検知で5〜10分の一時増風。会議が始まる前にCO₂の“立上り”を潰す。
• 吹出口:ドラフト回避のため大判・多孔に。テーブル直撃は避ける。
• VAVと在室:在室/予約連動で無人時は最小風量に。ダンパ最低開度は1.5m/s相当を下回らない設定に。
3. 教室—窓開けと機械換気のベストミックス
• 窓開けは+α:外気条件の良い時は交互窓開けで横断流を作る。機械換気は常時弱運転で底上げ。
• 席配置:後列が“デッドゾーン”になりがち。天井拡散×床回収の流れを意識してレイアウト。
• 騒音対策:NC-35を目安。サイレンサと低風速設計で先生の声を邪魔しない。
4. オープンオフィス—パーティションと気流のせめぎ合い
• 低い仕切りはコアンダに乗るが、高い仕切りはデッドゾーンを作る。上端と天井の距離を確保。
• 局所換気(タスク空調)と背景換気の二層運用で、個人差と省エネを両立。
5. レトロフィット(既存建物の改善)
• 外気導入の増強:窓用サプライファンやパッケージ空調への外気キットで段階的に改善。
• CO₂連動:既設のロスナイ/ERVに後付けセンサーで回転数制御。
• 簡易指標:CO₂が1500ppm超なら即対策。吹出口数+サイズを見直すだけで劇的改善することも。
6. 季節運用と省エネ
• 梅雨:除湿と換気の両立。熱回収+バイパスで外気の湿気をコントロール。
• 猛暑:エコノマイザ条件を見極め、外気で冷やせる時は積極活用。
• 厳冬:全熱交換+弱連続で乾燥しすぎない快適帯を維持。❄️
7. よくある課題と対策
• 「風は出てるのに眠い」→ 外気比率が足りない。外気ダンパ開度とCO₂制御を見直し。
• 「音が大きい」→ 末端の風速を落とし、大判吹出口に交換。
• 「席でムラがある」→ 天井拡散→壁吸込の流れを崩さず、家具レイアウトを調整。
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まとめ
学校・オフィスはCO₂の“先回り”が勝負。見える化+DCV+静音設計で、集中力と会話が弾む空気をつくりましょう。次回は熱回収換気と省エネ。湿気も熱も“もったいない”を取り戻します。
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