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皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
~プロが必ず守るべき5つの基本~
前回の「ダクト工事の歴史」に続き、今回は現場で働くプロが大切にしている**「ダクト工事の鉄則」**について、じっくりとご紹介していきます。
空気の通り道であるダクトは、正確さ・丁寧さ・安全性のどれが欠けても、快適な空間は実現できません。見えないからこそ、細部にまで気を配る。それがダクト職人たちの矜持です。
どんなダクト工事も、まずは空気の設計から始まります。
空気は、水や電気と違い「目に見えない」もの。その分、計算と経験に基づいた設計が求められます。
無理な曲がりは空気抵抗を増やし、効率を下げる
細すぎるダクトは騒音・振動の原因に
太すぎると無駄なエネルギー消費やスペースの浪費に
これらを踏まえて、最もスムーズに空気が流れるラインを描くことが鉄則です。
施工の現場で最も大事にされるのが、接合部の処理=気密性です。
ジョイント部分はアルミテープやシール材で丁寧にふさぐ
天井裏で見えない箇所こそ徹底チェック
ダクト内の風圧による振動も想定して強固に固定
ここが甘いと、空気漏れによる性能低下・騒音・結露・カビの発生など、後々のトラブルに直結します。
設置して終わりではないのがダクトの世界。
むしろ本番は「使われ続けるこれから」にあります。だからこそ、清掃・点検をしやすい設計にすることも大事な鉄則。
清掃口を適切な場所に設けておく
足場のない場所には点検用のアクセススペースを確保
内部が油汚れしやすい厨房ダクトは防火ダンパーの設置も忘れずに
数年後のメンテナンス性を想定できるかどうかで、プロの真価が問われます。
ダクトにはさまざまな種類の材料があります。現場によってはその選定も命取りになることがあります。
一般空調用 → 亜鉛メッキ鋼板製
厨房排気用 → 耐油・耐熱タイプ
病院・研究室 → 抗菌・抗腐食性の高いステンレス製
外気取り入れ口 → 断熱材付きの保温ダクト
「何を運ぶか」「どんな環境か」に応じた材質選びも、ダクト工事の鉄則です。
最後の鉄則、それは**「安全性」**です。
ダクトは火災時の煙を運び、空気感染のリスクにも関わる重要な設備。だからこそ、以下のような安全配慮が欠かせません。
防火ダンパーの設置(火災時に自動で空気の流れを遮断)
排煙ダクトの防熱施工
汚染区域と非汚染区域を分けたゾーニング
定期的なフィルター交換・漏れ検知の体制整備
命に関わる設備だからこそ、万が一を想定した安全設計が必要不可欠なのです。
ダクト工事は、ただの「配管」ではありません。
空気という、目に見えず、しかし人の命と直結する存在を操る仕事です。だからこそ、どんな現場でも、緻密な計画・丁寧な施工・確かな管理が求められます。
この鉄則を守り続けることで、私たちは今日も「目には見えない快適さ」を届け続けています。
次回もお楽しみに!
皆さんこんにちは!
株式会社打田設備、更新担当の中西です。
~人類と「空気の道」の歩み~
本日は「ダクト工事の歴史」について深掘りしてみましょう。
普段あまり注目されることのない“ダクト”ですが、私たちが快適に暮らす上でなくてはならない存在です。そんなダクトにも、長い歴史と進化の物語があるんです。
実は、空気の流れをコントロールするという発想そのものは、何千年も前から人類が持っていた知恵です。
たとえば古代ペルシャでは、「ウィンドキャッチャー(風塔)」と呼ばれる塔状の建築が使われていました。これは建物の上部に風を受ける口を設け、自然の風を室内へ導き、暑さをしのぐための仕組みです。
また、「カナート」という地下水路から冷気を引き入れて建物を冷やすという技術もありました。
いずれも、自然の空気の流れを巧みに利用して室内環境を整えるという考え方であり、現代のダクト工事に通じる“原点”ともいえるでしょう。
本格的に「ダクト」が生まれたのは、19世紀後半の産業革命以降です。
この時代には蒸気機関や工場が発展し、多くの人が密閉された空間で働くようになりました。その結果、室内の温度や空気質のコントロールが求められるようになり、空調や換気の設備としてダクトが発展していきます。
最初は、**暖房用の温風を建物内に送り届けるための“温風管”**として登場しました。次第に冷房設備の普及とともに、冷風用のダクト、さらには厨房や工場での排気・排煙用ダクトなど、目的に応じて多様化していきました。
日本では、戦前から一部の施設にダクト設備が導入されていましたが、本格的に普及し始めたのは戦後の高度経済成長期からです。
1960年代〜1970年代にかけて、オフィスビル・学校・病院・商業施設が全国各地に建設される中で、エアコンとともにダクトの重要性が急速に高まりました。
この時代、ダクトの設計・製造・施工を担う専門業者も数多く誕生し、今日のダクト工事業界の礎が築かれました。
昭和後期から平成にかけては、より省エネ・高効率な換気システムが求められるようになり、建築物ごとの最適な空調設計が必須に。
さらには耐震性、断熱性、メンテナンス性など、ダクトに求められる機能は年々高度化しています。
最近では、感染症対策やシックハウス対策として、ダクトの役割が再評価されています。
特に病院や高齢者施設では、空気の流れが人の命を左右する場面も少なくありません。
陰圧室や陽圧室における空気管理
飲食店での油煙除去や厨房換気
工場での有害ガス・粉じん排出
住宅での24時間換気システム
これらすべてに、ダクトは関わっています。
**ただの「空気の通り道」ではなく、「命を守る管」**として、その重要性は今後ますます増していくでしょう。
今後、建築技術の進化により、ダクトにも次のような変化が期待されています。
IoTによる空調制御との連動(スマート換気)
省エネ性能のさらなる向上
再生可能エネルギーと連動した空気システム
断熱材や防音材を一体化した高性能ダクトの開発
また、都市部ではダクトを見せる「インダストリアルデザイン」として、天井裏に隠さずあえて露出する施工も人気を集めています。
次回は、「ダクト工事の鉄則(守るべきルール)」をじっくりご紹介します!
設計・施工・メンテナンスの現場で、プロたちがどのような基準と信念で仕事をしているのか、ぜひチェックしてください。
次回もお楽しみに!